神戸で開催、ハートウォーミングな絵画展

2018.4.22 08:00

左:《七月の魚の棚商店街》 2014年 兵庫県明石市 右:《大蔵町から見た天文科学館》 2015年 兵庫県明石市

(写真7枚)

日本各地の情景を詩情豊かに描いた風景画で知られる須飼秀和(1977〜)。彼の画業を振り返る展覧会が、6月17日まで「BBプラザ美術館」(神戸市灘区)でおこなわれています。

須飼は20歳の頃にバイクで西日本を旅し、旅先での人との出会いや風景に心を動かされて、現在のような絵を描くようになりました。彼の作品は取材に基づいて綿密に描かれていますが、具象絵画で重要視される遠近法や立体感、写実性よりも、平面的で素朴な味わいを重視しています。

左:《夕焼けの家島》 2014年 兵庫県姫路市 右:《ばんしゅうの夕焼け》 2012年 兵庫県姫路市

そして描かれる風景は、大都会や有名な観光名所ではなく、生活感が溢れる下町の商店街や、ちょっとひなびた風情の田舎など。どこかレトロな風景が多く、見る者の郷愁を誘います。描かれた場所が自分の故郷ではなくても、昔の記憶が脳裏をかすめるのです。追憶の情景の画家。須飼をひと言で表すとこんな感じでしょうか。ちなみに須飼は兵庫県明石市在住。地元を描いた風景も多く見られます。

本展会場風景

本展では、近畿、四国、中国、九州など、描いた地域別に作品を展示。新聞連載の挿絵、絵本『うなぎのうーちゃんの大冒険』の原画、表紙絵を描いたタウン誌などが見られます。総数は前後期合わせて184点に上り、誰が見てもほっこりとした感動に浸れるでしょう。須飼は既に地元では有名ですが、本展を機にもっとメジャーな存在になるのでは。そんな予感に満ちた展覧会です。料金は一般400円。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

 

『日本の風景をみつめて 須飼秀和 ふるさとの詩』

期間:2018年4月10日(火)〜5月13日(日)・5月15日(火)〜6月17日(日)※前後期で展示替えあり
時間:10:00〜18:00 ※入館は17:30まで(5/20はコンサートのため14時閉館)※月曜休(4/30開館、5/1休館)
会場:BBプラザ美術館(神戸市灘区岩屋中町4-2-7 BBプラザ2F)
料金:一般400円、大学生以下無料
電話:078-802-9286

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本