色彩を操る画家、京都で日本初個展

2018.4.27 07:00

オットー・ネーベル《ドッピオ・モヴィメント(二倍の速さで)》 1936年 ラッカー塗料・紙 オットー・ネーベル財団

(写真6枚)

スイスとドイツで活動した画家オットー・ネーベル(1892〜1973)。日本では未だ知られざる存在と言ってもよい彼の画業を展観する初の回顧展が、4月28日から「京都文化博物館」(京都市中京区)でおこなわれます。

ベルリンで生まれ育ったネーベルは、美術だけでなく、建築、演劇、詩作など多分野にわたって活動しました。1916年に、第1次大戦で戦死したフランツ・マルクの展覧会を見て画家になることを決意。1920年代にはバウハウス(美術、工芸、写真、建築の学校)があったワイマールに滞在し、画家のパウル・クレーやヴァシリー・カンディンスキーと知遇を得て、生涯にわたる友情を育みます。また、画家のマルク・シャガールからも大きな影響を受けました。

オットー・ネーベル《ムサルターヤの町 Ⅳ:景観B》 1937年 グアッシュ・紙 ベルン美術館

1930年代以降は、風景を四角い色面に置き換えた「カラー・アトラス(色彩地図帳)」や、都市の建築物をモチーフにしたシリーズ、大聖堂の光に満たされた内部空間に触発されたシリーズなどを発表。音楽を感じさせる作品や、中東のイメージを取り込んだ作品なども発表しています。

オットー・ネーベル《ナポリ》『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』より、1931年、インク、グアッシュ・紙 オットー・ネーベル財団

本展では、ネーベルが手掛けた主要なテーマに沿って、初期から晩年までの作品を展観。クレー、カンディンスキー、シャガールなど同時代の画家たちの作品も併せて紹介することにより、彼の作品の同時代性や、独自の様式を確立していく過程を明らかにします。20世紀前半の抽象芸術に興味がある人は見逃し厳禁です。

文/小吹隆文(美術ライター)

『色彩の画家 オットー・ネーベル展  シャガール、カンディンスキー、クレーとともに』

期間:2018年4月28日(土)~6月24日(日)※月曜休(4/30・5/1開館)
時間:10:00~18:00(金曜~19:30)※入場は閉室30分前まで 
会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
料金:一般1500円、大高生1000円、中小生600円
電話:075-222-0888

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