北乃きい「このままでいいか迷っていた」

2018.5.4 08:00

日々の努力が実り、「少しはノラに近づいてきたのかな」と北乃

(写真2枚)

女優・北乃きいが、近代劇の父と言われるヘンリック・イプセンの代表作『人形の家』で6年ぶりに舞台に戻ってくる。本格的なセリフ劇で主演を務めるのは初めてだという北乃が、大阪市内で会見を開き、心境を語った。

イプセンが1879年に描いた同作は、夫に人形のように扱われていたノラが1人の女性として覚醒し、第一歩を踏み出すまでを描く。日本では、1911年に初演されて以来、大竹しのぶや宮沢りえらがノラを演じてきた。「お話をいただいたときは、プレッシャーや戸惑い、恐怖のほうが大きくて。でも、このまま20代後半を過ごしてはステップアップができないし、大丈夫かな・・・と迷っていた時期でした。ノラは今まで演じたことがない役で、ぜひ、やりたかった」と話す。

稽古場では、今まで北乃がやってきた芝居の仕方を捨てて、ゼロから作っているという。「例えば、ジョニー・デップさんは、映画で特殊メイクをして誰だか分かんないときがありますよね。でも芝居はすごくうまい。あれは、ゼロから作っていて、彼の素材は1ミリも入っていないから。それが役者なんだとしみじみ実感しています。今まで私は、オーディションでも役に近いからという理由で選ばれることが多かった。でもノラは、私とは似ても似つかない。キラキラと輝いて、何を言っても許されるし、誰からも愛される人なんです」。

6年ぶりに舞台に戻ってくる北乃きい
『人形の家』で6年ぶりに舞台に戻ってくる北乃きい

ノラを自分の中に落とし込むために、和食のときにもナイフとフォークで食事をして、食べ方はもちろん、寝方、生活の仕方までノラとして生きているという。「そうすると、久しぶりに会った人に、『キラキラしているね』と言われて。普段、そんなこと言われたことがないんですけど(笑)。少しはノラに近づいてきたのかなと思います」

同作は、フェミニズム運動の先駆けとして世界的に大きな影響を及ぼした作品だ。「男性が観ると、胸が痛いセリフがある。日本にはまだこういう家庭があると思うので、お客さんは違和感やギャップを感じないのではと思います。ノラを応援してもらえるように演じたいですね」。ノラがラストで下す決断は、現代にはどう響くのか。ぜひ、確かめてほしい。

共演は、佐藤アツヒロが夫役をつとめるほか、大空ゆうひや松田賢二、淵上泰史らが出演。新潟・東京公演を経て、兵庫公演は5月23日・24日に「兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール」(西宮市)にて。チケット発売中。

取材・文・写真/米満ゆうこ

りゅーとぴあプロデュース『人形の家』

日時:2018年5月23日(水)・18:30〜、24日(木)・13:00〜
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
料金:A席7000円、B席5000円
電話:0798-68-0255

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