「円」の絵で注目の若手画家、兵庫で個展

2018.5.17 07:00

國久真有の制作風景(映像から抜粋)

(写真3枚)

神戸を拠点に活動している若手美術家、國久真有。近年、旺盛な活動で注目を集めている彼女が、ギャラリー「創治朗-Contemporary Art Gallery-」(兵庫県伊丹市)で5月19日から個展を開催します。

國久は大阪出身で、インテリアデザインと建築設計、服飾のパターンメーキングを学んだ後、ロンドンに留学。その過程で抽象表現主義の絵画と出会い、絵画の可能性、すなわち四角い画面の中に何次元もの表現したいものを取り込めることに気付きました。帰国後は神戸芸術工科大学で学び、並行して個展活動を開始。特に昨年からはその活動に勢いがついてきました。

アトリエでおこなった展示のテストより

彼女が現在取り組んでいるシリーズ「wit-wit」は、無数の円を複数の色彩で描き重ねたものです。円の大きさは彼女の身体サイズに由来します。つまり、腕を伸ばした状態で筆を持ち、グルッと回転させるのです。レオナルド・ダ・ヴィンチの有名なドローイング「ウィトルウィウス的人体図」では、手足を伸ばした男性像が2種類のポーズで描かれており、外周に描かれた新円と正方形が男性像の手足に内接しています。この作品は人体の調和や芸術と科学の融合を表しているとされますが、國久が描く円も自身の身体から発した必然的かつ根源的なモチーフなのです。

國久真有《wit-wit -blue blue-》2018年

無数の円が渦巻く作品を見ていると、奥へ奥へと視線が誘導され、やがて自分が絵画空間に没入したかのような感覚が得られます。それは彼女が絵画の可能性に気付いた時の感動=四角いキャンバスを超えていくつもの次元を表現できる、を具現化したものと言えるでしょう。本展では作品を横並びに展示するのではなく、インスタレーション形式の展示をおこなうとのこと。絵画と空間の関係をより追求した、新たな國久ワールドが体感できそうです。

文/小吹隆文(美術ライター)

『國久真有個展 IF ANYWHERE』

期間:2018年5月19日(土)~6月9日(土) 
時間:12:00~19:00 ※日・月曜休
会場:創治朗-Contemporary Art Gallery-(兵庫県伊丹市中央6-1-33 中本ビル2F)
料金:無料
電話:072-773-3910

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