若き名匠・白石和彌監督を徹底解剖(2)
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「パンドラの箱を開けちゃったから、元に戻れないですよ」(白石和彌)
田辺「毎回、インタビューではそれ言ってますよね(笑)」
白石「もちろん、世の中も挑発したいんですけど、同業者を挑発しないと」
田辺「一番挑発したい人は誰なんですか(笑)」
白石「誰とは言わないですけど」
斉藤「そんなんいっぱいいるよね。数え上げたらキリがない。まずは東映でしょ?」
白石「でも、東映はパンドラの箱を開けちゃったから、元に戻れないですよ。その覚悟があって『孤狼の血』を作ったんでしょ、という」
春岡「だいたい東映って、パンドラの箱を開けまくって進んできた会社なのに、なにお利口さんになってんだよって。なに守りに入ってんだよって。オープニングの三角形のロゴマーク(正式名称は荒磯に波)の意味、分かってるのかよって」
斉藤「そもそも今回は、一番波の威力があった古いバージョンを持ってきてますよね。それだけで、こりゃやる気やなって」
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白石「僕が助監督をやってた頃はむしろVシネマ全盛で、ちょっと落ち目になってきた時代ですけど、あの頃はこういうフィルム・ノワールとかヤクザものとか、よく作られていたじゃないですか。まだシェア(市場)があったんですよね。今、無くなった、無くなったって言うんだけど、あのVシネマの文化で言うと、毎回毎回、粗製乱造になり過ぎてて、今も辛うじてやってるけど、1000万円で1本撮るみたいな、そんな適当に作ったら客は離れるよって話なんですよ。だからちゃんと作れば、観たい人は絶対観るんだから」
春岡「三池崇史監督とかもそういうところでやってて、それで面白いなって俺たちも観てて、役者さんにもそういう映画が好きで出演するという人がいっぱいいたんだよ」
斉藤「『シャブ極道』や『しのいだれ』もVシネマがスタートでしたもん」
白石「そうですよ」
田辺「これとか、松坂桃李が出てるなら、観ないといけないって来る人はいますからね」
白石「そう。それで衝撃を受けて映画館を後にするわけですけど(笑)」
斉藤「彼にとって『孤狼の血』は、今後を左右する作品になるんじゃないかなあ」
白石「三浦大輔監督の『娼年』(松坂桃李が主演)もすごかったですよ」
斉藤「去年の助演男優賞、なぜ『彼女がその名を知らない鳥たち』の桃李くんが獲りまくらなかったのか不思議でね。むしろ松坂桃李しかいなかったやろ?って」
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春岡「今、クズ男やらせると抜群だよなぁ。本人も好きだよ、ああいう役」
白石「役者冥利に尽きる役ですよ、全部」
斉藤「『孤狼の血』なんか、最後の30分は彼のオンステージだもんね。あそこで観客も真っ赤に燃えるわけやし」
田辺「大上の死体が見つかるシーンで、ひとり歩いて行くじゃないですか。あそこから完全に変わるんですよね」
斉藤「カメラも後ろを追っていくやん、バーって」
田辺「で、周りが松坂くんを見るんですよ。あのシーンで、物語の中心になるって分かるから」
白石「あそこのシーンは、ちゃんと死体を絶対見せるって思ってました」
斉藤「正解ですよねえ」
白石「スタッフもみんな『見たくないです』って言ってたんですけど、『いやいや、俺だって見たくないけど、これは絶対に見せないとダメだ』って」
田辺「刺し傷までちゃんと見せて、さらに拷問シーンまで入れてますよね」
斉藤「拷問死した、というのも原作にはないんですよね。でも、あれがないと日岡の怒りが燃え上がらない」
白石「見たくないものを見ちゃった方が、その後の跳ね方も変わるんです」
春岡「それをバイオレンスとか言うのは、それは全然違うんだよ。バイオレンスでやってるわけではまったく無いわけで」
斉藤「あそこは泣かせどころやからね。完全に、狼が受け継がれましたということを証明するシーンやから」
春岡「ノートまで受け取っちゃったから、やるしかないと。それまでずっと『広大、広大』(日岡は広島大卒のエリートという設定)って呼ばれてるのがまたね」
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白石「1回だけ『日岡』って呼ばれるんですけど、それまで『広大』って」
春岡「あれ、大事だよな。それは結局、映画でなにが面白がられているかちゃんと分かっているかどうかの問題なんだよ。役所広司が『逮捕するか?』って挑発してるけど、あれは実は、逮捕してもらえれば死ななくて済むのになって思いながらやってるわけで」
白石「大事なんですよね。でも、特別なことはしてないんですよ。セオリー通り、それをちょっとアレンジしてるだけですから。あと、大上が死んでから30分あるんですよね。そこで、真面目な日岡にバトンタッチするんですけど、それまで大上がやってることが超楽しいから、『どうすればいいんだよ、これ』って思いましたけど」
斉藤「でも、それがあっての『孤狼の血』でしょ。一匹狼の血が受け継がれるという」
白石「そうなんですよ、それが映画のテーマなんで。でも、そこかしこに大上の残り香を感じさせないといけない。桃子っていう阿部純子の役もそうだし、最後の最後まで大上にやられた!って思わせないといけないし。そういうのをどう作ろうかとは、一生懸命考えましたね」
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