米国から京都へ、浮世絵の名品が里帰り

2018.6.29 07:00

喜多川歌麿「歌撰恋之部 物思恋」寛政5~6年(1793~94)頃 大判錦絵(前期展示) © Lee E. Dirks Collection

(写真5枚)

京都の名刹「相国寺」にある「相国寺承天閣美術館」(京都市上京区)で、浮世絵の良質なコレクション『サンタフェ  リー・ダークスコレクション 浮世絵最強列伝』が7月3日から始まります。

同展は米国の浮世絵コレクターであるリー・ダークス氏が所蔵する名品約160点を紹介する展覧会です。彼は1958年から61年に米空軍士官として来日し、東京の横田基地に赴任していました。そのときにジェームス・ミッチェナー著『日本の版画』を読んで浮世絵に興味を抱きます。帰国後はダウ・ジョーンズやボストン・グローブ紙といった大手新聞社で記者、編集者、経営幹部として活躍。2000年頃から本格的に浮世絵のコレクションを始め、初期浮世絵から明治・大正時代に至る浮世絵コレクションを構築しました。

春好斎北洲「三代目中村歌右衛門の加藤正清」 文政3年(1820) 大判錦絵(前期展示) © Lee E. Dirks Collection

展覧会ではほぼ年代順に浮世絵の名品を紹介します。17世紀後半に活躍した浮世絵の祖・菱川師宣、18世紀後半のスター絵師・鈴木春信、 優美な美人絵や役者絵で知られる喜多川歌麿、約10カ月間に次々と名作を発表し、忽然と姿を消した謎の絵師・東洲斎写楽、ゴッホやモネも絶賛した葛飾北斎、江戸時代末期に活躍した歌川国芳、歌川広重など、巨匠たちの名品がズラリと並ぶのです(会期中に展示替えあり)。しかも作品の保存状態が良好で、なかには今摺り上がったのかと思わせる極上品も含まれています。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 天保2年(1831)頃 横大判錦絵(前期展示) © Lee E. Dirks Collection

本展会場のある「相国寺」は京都五山の第二位に列せられる名刹で、14世紀末に室町幕府3代将軍・足利義満により建設されました。展覧会の後に拝観をすれば、より充実した1日が過ごせるでしょう。料金は一般1000円、期間は前期が8月5日まで、後期が8月8日から9月30日まで。

文/小吹隆文(美術ライター)

「サンタフェ リー・ダークスコレクション 浮世絵最強列伝ー江戸の名品勢ぞろいー」展

期間:【前期】7月3日(火)~8月5日(日)、【後期】8月8日(水)~9月30日(日)
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで 
会場:相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入ル 相国寺門前町701)
料金:一般1000円、65歳以上・大学生800円、高中小生500円
電話:075-241-0423

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