ましのみ「普通のことを私なりの角度で」

2018.9.1 07:00
(写真2枚)

「具体的にするほど、いろんなところに引っ掛かりやすくなる」(ましのみ)

──それって、暗い曲を聴くことで自分の暗い部分が浄化されるのか、それとも、とことん落ち込んでやろうと?

落ち込んでやろう、ですね。でも、そういう曲ばかり聴いてると悪循環なんですよ。どんどん落ち込んで、聴いて、また落ち込んで。そんなときに寄り添ってくれるポップスというか、メロディだけで楽しくなってくるような曲を作れば、ネガティブなことを考えちゃう人に疎外感を与えずに、引き上げられるんじゃないかって。わざわざ言葉にする必要もないんですけど、気づいてもらうには、言葉にした方が分かりやすいかなって。

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──今回のシングル『どうせ夏ならバテてみない?』は、せっかくのお泊まりなのに彼氏がさっさと寝てしまう、ときの乙女心を描いています。前々から思っていたんですが、ましのみさんの曲に登場する彼氏って、だいたい女の影がありますよね(笑)。

そうですね(笑)。どの曲にもそういう女性が出てくるけど、ホントにいるかどうか分からない。いるんじゃないかって、いつも勘ぐってる。私の楽観的になれない、心配性の価値観が曲にも反映されるんです(笑)。私と同じような子って、一定数いるんじゃないかと思っていて。だけど、テーマは普遍的です。奇をてらったことを書こうとしてるわけじゃなくて、誰にもあるようなことを私なりの角度で、ということを大事にしてますね。

──ましのみさんの面白いことは、世代が違ってもちゃんと置き換えられる部分があるんですよね。たとえば、結婚10年目の夫婦でも、この曲に共感することもあり得る。

最初から幅広い層を狙うと、誰にも引っ掛からないけど、具体的にするほど、どっかのエッセンスがひとつ引っ掛かって共感できることってあると思うんですよね。私と近い世代を意識して曲は書いてはいるけど、そうすることによって、いろんなところに引っ掛かりやすくなる。それを願っているのでうれしいです。

「奇をてらったことを書こうとしてるわけじゃない」とましのみ

──それはすごく真理を突いていて、たとえば、幅広い層へのアプローチを狙って、言葉を凡庸的にする人は多いんですが、でも実はパーソナルを掘り下げれば掘り下げるほど、結果としてはユニバースになるという。

あぁ、それ深いですね。

──と、とある映画監督が言ってました(笑)。

へえ、すごい!

──最後にライブのことをお聞きしたいのですが、以前見させていただいたライブでは、ピアノの弾き語りのわりに相当動き回ってましたよね。その場で(笑)。

なんか、動きたいんです。ピアノは固定されているから、弾きながら踊れないかなって。(ステージが静かになると)飽きちゃうんです。間が苦手なんですよね、間ができると下向いちゃうし。効果的な間もあると思うんですけど、ただダラダラした間だったら、「この数分間のお金返してよ!」って(笑)。手を抜くなよって思っちゃう。

──手を抜くなって(笑)。直近としては、9月8日に東京「代官山UNIT」でワンマンライブ、10月には大阪のイベント『ミナミホイール2018』への出演が決まってます。

インディーズのときは、ライブはほぼ関東だけだったんですけど、メジャーデビューしてからは大阪にもちょくちょく来られるようになってきて。次は大阪や全国でもワンマンライブができるようになればいいなって。でも、いつも大学のテストと被るんですよ(笑)。

──大丈夫ですよ、大学って8年まで行けるみたいですから。

1年で100万円かかるんですよ。ポニーキャニオンさんが出してくれたら心置きなく音楽に専念できるのに(笑)。

担当者:そういう会計項目はありません。

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