2018年・上半期、外国映画ベスト3

2018.9.13 06:00

左から田辺ユウキ、春岡勇二、ミルクマン斉藤の座談会メンバー

(写真3枚)

「スピルバーグの豪腕っぷり、やっぱり天才」(ミルクマン)

田辺「あのラブシーンは、本当に良かったですね。今までに人間と半魚人のラブシーンなんてなかったでしょ?」

春岡「これまでは、精神的・肉体的に身体を寄せ合ったことでセックスしましたという設定になってるんだけど、やっぱりギレルモ・デル・トロ監督ならそこまでやるよねって感じだもん」

田辺「で、それを同居人がちゃんと見てるっていう。そのなかでセックスしてて、ドアが開かないっていう(笑)」

春岡「そうそう(笑)。で、あの翌日、掃除の仲間にそれを言ったら、え、ちゃんと出来たの?みたいになって、顔を赤らめて。お、やってんじゃんみたいな。今までに異形な者との交流で、ちゃんとセックスしたってことをはっきり描いたのは初めてだと思う」

──ちなみにデル・トロ監督が降板した『パシフィック・リム:アップライジング』はどうでしたか?

田辺「あれは、残念やったなぁ」

春岡「なんかつまんないネタが多かったよな」

田辺「『パシフィック・リム』に関しては、人間の諍いとかどうでも良くて、やっぱり怪獣とロボットが戦うところをちゃんと見せて欲しかった。俺らが観たいもの、まったく映してないやんっていう(笑)」

斉藤「いや、人間ドラマもかなり濃厚だったのが前作でしょ。だから、ペントコスト司令官と菊地凜子の絆に燃えたり、怪獣オタクの科学者に共感したり。でもそいつらをあんな目に遭わすんだよ! 観てるうちはそうでもなかったけど、劇場からの帰り道でだんだん腹立ってきた(笑)。バトルのアングルとか、闘いのプロセスとかもなんか違うんだよね。怪獣愛はそれなりにあると思うけど、デル・トロとは異なる」

田辺「それに比べて、『ブラックパンサー』の面白さ!」

斉藤「マーベル映画の質の高さって、もはや揺るぎがないやんか」

春岡「平均点が高いよな」

斉藤「いわゆる『作家』たちが寄ってたかってるから、下手なモン作れない感がある」



田辺「ライアン・クーグラーが撮ったという意味もちゃんとあったし。むしろクーグラーしかこれを出来ないですもんね。脚本力も含めて面白かったなぁ」

斉藤「やっぱり、アフリカン・カルチャーを真っ向から扱った映画ってアメリカのメジャーではこれまでなかったから。しかも、アフリカン女優の綺麗どころが大集合」

春岡「あれ、良い発想だよなあ。アフリカにもうひとつの国があって、しかも遙かに進んだ文明を持っているっていうね」

斉藤「それにしてもアベンジャーズの半分くらい消えたよな。来年には元に戻るんだろうけど、その間どうすんねん(笑)。でもあんなハイレベルの作品を連続活劇のように観られるって、なかなか良い時代やん」

春岡「DCコミックスの映画もなぁ・・・『ワンダーウーマン』とか面白いんだけど」

斉藤「というか『ダークナイト』終了後は、今のところ『ワンダーウーマン』だけ(笑)。ダサくてさあ、もういいかなあって感じ。同じようなことやってもマーベルの方が洒落てんのよなあ、垢抜けてんのよな」

──ほかに気になった作品はありますか?

斉藤「僕は、『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』と『レディ・プレイヤー1』。スピルバーグの豪腕っぷりを見せつけられた感じで、やっぱり天才というしかないっていう(笑)」

田辺「しかも2カ月連続でスピルバーグ!みたいな(笑)」

斉藤「巧すぎるやろ、両方とも。これを同時期に撮るかっていう。スピルバーグって昔、『カラー・パープル』みたいな社会派っぽい映画を撮りはじめたとき、さんざん賞狙いって言われたやん。そんなの遙か過去のことになって、もはやそっちのほうが多いくらい普通に撮ってるよね。むしろ『レディ・プレイヤー1』の方がお久しぶりっていう(笑)」



春岡「なんやかんや言って、メリル・ストリープとトム・ハンクスだから、面白くないわけがない」

斉藤「メリル・ストリープなんてワンシーンで全部かっさらうからね(笑)。目の演技一発ですべて決めちゃうという(笑)」

春岡「歌舞伎だよな、本当に。あれはちょっとびっくりしたなぁ、久しぶりにすごかった」

田辺「あと僕、『リメンバー・ミー』が最初ダメで・・・」

斉藤「いやぁ、僕は大評価しますよ」

田辺「なんか、序盤を観たとき、またこの手のディズニーピクサーの作品か、ちょっと無理かなって思ったんですよ、最初は。キレイすぎたし、物語もかっちりしすぎてて。と思っていたら、中盤からガラッと変わって、それで持っていかれました(笑)」

斉藤「それが脚本の上手さなのよねぇ」

田辺「いや、そうなんですよね。ホント、上手いこと作ってるなぁって」

春岡「後半の方が上手かったよな」

斉藤「ネタ振りが全部効いてくるからね。ミステリーとしてちゃんと構成されてる」



春岡「ディズニーっていうのはそうなんだよな、憧れてるやつを悪人にするっていう。でも面白いよな、あれ」

斉藤「でも、あれは間違いなく『千と千尋の神隠し』を観て考えついたはず。換骨奪胎するスキルがすごい」

田辺「そうなんですよね、完全にヤラレました」

斉藤「近年のピクサー作品では、最高の出来やろなあ」

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