大阪で、太陽の塔と岡本太郎に迫る展覧会

2018.9.21 05:00

展覧会の冒頭部分。3点のオブジェの奥に見えるのが、大阪万博当時に地下展示を彩っていた「地底の太陽」の原型

(写真5枚)

内部公開を再開した「太陽の塔」の実像と、岡本太郎の芸術に迫る展覧会が「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)で11月4日までおこなわれています。

展覧会は3点のオブジェを皮切りに、「太陽の塔」地下展示の再現からスタート。当時の地下展示は岡本太郎がもっともこだわった部分ですが、48年ぶりの「太陽の塔」内部公開では復元されず、現在も見ることができません。本展では、万博閉幕後に行方不明になった「地底の太陽」の原型を展示し、ジオラマや模型で地下展示を再現しています。

「再生・太陽の塔」より。太陽の塔 内観模型と、生命の樹 再現模型。左奥に見えるのが「座ることを拒否する椅子」(実際には座ることができる)

続くゾーンでは「太陽の塔」の模型やスケッチ、岡本の肉声などが紹介され、さらに歩を進めると、再生工事にまつわる資料や記録映像、模型などが展示されたゾーンへ。そして、1992〜1993年の改修工事で取り外された、万博当時の「黄金の顔」へと至ります。「太陽の塔」内部を再現した精巧なミニチュアはもちろんですが、直径10.6メートルもある「黄金の顔」は迫力満点。経年劣化すら臨場感へと転化して、観客を圧倒します。

最後は主に1960年代の岡本太郎作品を紹介するゾーン。岡本は1961年にそれまで所属していた二科会を脱退し、新たな芸術活動を始めます。それと共に作風が変化し、「太陽の塔」にも通じるフォルムや色彩が見られるようになりました。ここでは13点の絵画、版画、立体などが見られます。

会場には大阪万博を体験した世代から平成生まれの若者まで、幅広い年代の観客が押し寄せ、展示物を熱心に見つめています。改めて「太陽の塔」の人気を知ると同時に、岡本太郎のパッションが今も必要とされていることを実感しました。本展は単なるノスタルジーではなく、明日への活力を充填してくれるパワフルな展覧会なのです。料金は一般1200円。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『太陽の塔』展

期間:2018年9月15日(土)〜11月4日(日)
時間:10:00〜20:00(月・土・日・祝は〜18:00)※共に入館は30分前
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43)
料金:一般1200円、大高生800円、中小生500円
電話:06-4399-9050

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