質・量とも過去最大、藤田嗣治の大回顧展

2018.10.19 07:00

藤田嗣治《礼拝》 1962-63年 油彩・カンヴァス パリ市立近代美術館(フランス)蔵 © Musée d’Art Moderne / Roger-Viollet © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo,2017 E2833

(写真4枚)

1920年代のパリで活躍し、その後は時代の波に翻弄されて激動の人生を送った画家・藤田嗣治(1886~1968)。彼の没後50年を記念する大回顧展が、「京都国立近代美術館」(京都市左京区)で10月19日からおこなわれます。

藤田は1886年(明治19)に東京で生まれ、1905年(明治38)に東京美術学校に入学しました。1913年(大正2)に渡仏して、パリのモンパルナスに定住。長らく模索の時期を過ごしますが、「乳白色の裸婦」に代表される独自の画風を確立し、1919年(大正8)の「サロン・ドートンヌ」に出品した6点すべてが入選を果たすなど、人気作家の仲間入りをします。また、おかっぱ頭、丸眼鏡、ちょび髭の奇抜な風貌でも注目を集め、社交界で人気を博すなど時代の寵児になりました。

藤田嗣治《アッツ島玉砕》 1943年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵(無期限貸与作品) © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo,2017 E2833

1930年代には中南米の旅に出て新たな画風に挑み、戦雲急を告げる1940年(昭和15)には帰国して作戦記録画を多数発表します。しかし戦後は国策協力を糾弾され、1949年(昭和24)に離日。1950年(昭和25)にフランスに戻ると日本国籍を捨ててフランス人となり、カトリックの洗礼を受け(洗礼名「レオナール」)、日本に戻ることなく1968年(昭和43)に没しました。

藤田の没後50年を記念する本展では、国内の作品はもとより、欧米の美術館の所蔵作品も含めた約100点が集結し、質・量とも過去最大規模で藤田嗣治の画業を展観します。「乳白色の裸婦」を代表する作品が10点以上含まれており、初来日の作品や、これまであまり紹介されてこなかった作品が含まれるなど、ディープな美術ファンも唸るほどの充実した内容です。

文/小吹隆文(美術ライター)

『没後50年 藤田嗣治展』

期間:2018年10月19日(金)~12月16日(日)※月曜休 
時間:9:30~17:00(金・土曜~20:00)※入館は閉館30分前まで
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
料金:一般1500円、大学生1100円、高校生600円
電話:075-761-4111

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