播州の城下町・龍野で美術と音楽の芸術祭

2018.11.7 07:00

稲垣元則《忘れてしまいたい。でもずっと忘れたくない》2017 映像、ドローイング(参考)

(写真5枚)

兵庫県の西部、姫路市の西隣に位置するたつの市。同市の龍野町旧市街を舞台に、美術と音楽の芸術祭『龍野アートプロジェクト2018 混成軌道』が11月8日からおこなわれます。

龍野町旧市街には、龍野城や武家屋敷、地場産業の醤油蔵といった建築遺産があり、童謡「赤とんぼ」の作詞者で詩人の三木露風、哲学者の三木清を輩出するなど文化的な土地柄で知られています。普通に散歩をするだけでも十分魅力的ですが、町内の魅力的な建物を舞台に芸術祭をおこなうことで、地域の魅力発信、国際交流、人々が集う場を創出しようというのが『龍野アートプロジェクト』の目的です。

今村遼佑《雨音と部屋》 2013 古い日用品、ソレノイド、タイマー回路 サイズ可変(参考)

2011年から始まり8度目の開催となる今回は、ポーランドの美術家3組と日本の美術家4名が作品展示をおこなうほか、「アートde元気ネットワークひょうご」とのコラボ展、過去の龍野アートプロジェクトのアーカイブ映像の上映、アーティストトーク、ワークショップなどがおこなわれます。また、今年はポーランド独立回復100周年であることから、地元出身の作曲家・薮田翔一とアレクサンデル・ヤニツキの映像による記念コンサートや、記念シンポジウムを開催。.es(ドットエス)の即興ライブ演奏 や、ジュスカ・グランペールのギター&バイオリンコンサートがおこなわれるなど、音楽のプログラムも充実しています。

なお、今回のテーマ「混成軌道」とは2種類以上の異なる軌道が混じるハイブリッドな状態を指し、異なる文化圏や分野の人々が軌道を交錯させながら龍野で出会う様子を表しています。もちろんこの芸術祭に出かける観客も、軌道を描く登場人物の一人です。期間は11月18日まで、会期中何度でも観覧できるパスポートは一般600円。

文/小吹隆文(美術ライター)

『龍野アートプロジェクト2018 混成軌道』

期間:2018年11月8日(木)~18日(日)
時間:10:00~17:00 ※月曜休
会場:兵庫県たつの市龍野町旧市街
会場:アポロスタヂオ、アポロランプ、arinomama Gallery KURA、県民交流広場(以上有料)、わのわ、旧中川邸、三木露風生家、かどめふれあい館、かどめ公園休憩所、菊屋敷、旧脇坂屋敷、ガレリアアーツ&ティー(以上無料)※無料会場は休館日、開場時間が異なる
料金:一般600円、大学生300円、高校生以下無料(会期中何度でも観覧できるパスポート制)
電話:0791-63-3555(龍野アートプロジェクト事務局)

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