遠藤憲一「極道極道してると受けなかった」

2018.11.17 07:00
(写真9枚)

そのコワモテな風貌を武器に、ヤクザからちょっといいお父さんまで、さまざまなキャラクターを演じ分ける名バイプレイヤー・遠藤憲一。そんな彼が、『BE−BOP−HIGHSCHOOL』の作者・きうちかずひろがメガホンを取った映画『アウト&アウト』で主演をつとめる。血のつながらない少女とともに生活する元ヤクザの探偵役。周囲に恐れられながらも憎めないキャラクターを演じる遠藤憲一に、本作の魅力や役者としての思いを訊いた。

取材・文/ミルクマン斉藤 写真/渡邉一生

「ダメダメな奴ばっかりで(笑)」(遠藤憲一)

──最近ベビーフェイスな役が続いていたように感じる遠藤さんですが、三池崇史さんの作品にずっと出てられた頃から拝見していた僕なんかは、今回非常に懐かしく感じたというか。

帰ってきた、って感じですか(笑)。

──ええ。それに加えて、かつての東映セントラルの匂いがするんですよ。松田優作さんの『遊戯』シリーズとか『探偵物語』みたいな洒落たハードボイルドを彷彿とさせて、70年代後半から映画を観はじめた世代にはなんだかうれしくなってくる。それにしても遠藤さんが探偵役というのは今までありましたっけ?

こうやってガッツリできたのは初めてじゃないかな? 若い頃、もっともっとコメディチックな探偵を演ってみたいな、と思っていたことはありましたけど。

──でも今回は、探偵でありながら元ヤクザの幹部で、「日本で5本の指に入るおっかねえ人」という役ですよね。そのあたりのドスの利かせ方、抜き方というのが面白かったですね。普段は怖さをオブラートで包みつつ、肝心なところで本性を出してくるというのが。

いや、そこを見ていただければうれしいです。本当にそういう風な役作りをしたんで。そのまんまです。

──きうちかずひろ監督は、『カルロス』(1990年)や衝撃的なセルフリメイク版『BE−BOP HIGHSCHOOL』(1994年、以下ビーバップ)など、素晴らしくハードなヴァイオレンス・アクションを撮る映画監督としても90年代の一部ファンを唸らせたのですが、長編は実に18年ぶりとか。遠藤さんとは初めてですよね?

そうです。しかも俺、『ビーバップ』くらいしか知らなかったんで。過去にどんなものを撮っていたのか知らないまま演ったんですよ。俺が一番最初に触れたのは、「こういうオファーが来ている」と言われて読んだ原作のほうですね。

「あんまり極道極道していると 受けなかったかも知れない」と遠藤憲一
「あんまり極道極道していると 受けなかったかも知れない」と遠藤憲一

──脚本の前に小説を読まれたんですね。

そうです。元極道で探偵、しかも過去にいわくのあることで少女・栞を養っているというところが面白いな、と興味が湧いて参加させてもらったっていう感じなんです。あんまり極道極道していると (オファーを)受けなかったかも知れないですけど。

──遠藤さん演じる矢能って男、極道という設定さえなければ、コワモテではあるけれども情のある良い探偵ですよね。きうち組常連の竹中直人さんと酒井伸泰さん、それにプロレスラー・中西学さんの4人のおっさんたちが悪巧みしてる・・・というか、ただダベってるとこなんか最高ですね(笑)。

ダメダメな奴ばっかりで(笑)。この仲間たちも裏社会でやってきた関係性ばっかなんで、そこがまた面白いところなんでしょうね、やっぱり。

映画『アウト&アウト』

2018年11月16日(金)公開
監督:きうちかずひろ
出演:遠藤憲一、白鳥玉季、竹中直人、高畑淳子、ほか
配給:ショウゲート

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