遠藤憲一「極道極道してると受けなかった」

2018.11.17 07:00
(写真9枚)

「本当に美しい良い作品」(遠藤憲一)

──でも、きうち映画をずっと観てきた僕にしても、今回もまた美しい作品でしたね。アングルも計算されてスタイリッシュだし、とりわけ室内シーンの照明が美しい。

綺麗ですね。ヨーロッパの映画みたいで。だから美しさに最初びっくりしたかな、完成した作品を観たとき。本当に美しい良い作品という感想を持ちました。

──とてもシネマティックだと思いますね。画のこだわりは、やっぱりもともと漫画家さんだからというのもあるのかも知れないですが。

そうですね。カット割りはそうでしょうね。『ビーバップ〜』と作風は全然違いますけどね。

──失礼になると謝りますが(笑)、遠藤さんの顔ってとても陰影が濃いじゃないですか。特に今回のような撮り方だと、遠藤さんの顔そのものが風景に見えてね、良いんですよね(笑)。

へ~、本当ですか。その言われ方は初めてですね。いいこと言ってくれますねぇ。

映画『アウト&アウト』のワンシーン ©2017「アウト&アウト」製作委員会
映画『アウト&アウト』のワンシーン ©2017「アウト&アウト」製作委員会

──遠藤さんの顔を美しく撮ることにも相当なこだわりを感じましたね。きうちさんは監督としてはすごく寡作ですけど、もっと撮り続けて欲しいですよ。

うん、映画監督が一番合うんじゃないですかね。(漫画家、作家とさまざまな顔を持つきうちかずひろの)なんか集大成のような気がするな。

──漫画では飽き足らず映画監督になったような方で。

もっと表現したいって言うね。

──昔、遠藤さんはVシネマによく出演されてましたよね。きうち監督もVシネマという土俵で何本か撮ってられたけれど、あのジャンルの全盛期に近い熱気も感じます。

またちょっとタイプ違いますけどね。きうちさんの作品の根底には、お洒落なものが入っているんですよ。美意識が隅々に流れているんで、アウトロー映画という一色では流せない、ちょっと一線を超えた世界観にあるんだと思うんですよね。だからもしパート2があるとしたら、その独自路線をもっと研ぎ澄ましてエッジをかけた何かが生まれるかも知れない。ポスターから何からイメージ一切合切、きうちさんすごくこだわったらしいんですよ。

──先ほどパート2にはさほど興味が無いとおっしゃられてましたけれど(笑)。

まあ、そういう終わり方してますからね(笑)。

──確かにそうですが(笑)、こういう映画はシリーズものになるべきじゃないか、東映の良きBムーヴィ(B級映画)の伝統を引き継ぐものだから、そうなれば今の映画界にもいいのにな、という感じがするんですけどね。

さっき優作さんの名前が出ましたけど、『遊戯』シリーズみたいなエンタテインメント性まで昇華させればすごいなと思いますけど、なかなか出来るもんじゃないんでね。独特な松田優作さんの世界、あの域までは。でも、この映画はそこそこその域にまで入ってると思うんですけど。

映画『アウト&アウト』

2018年11月16日(金)公開
監督:きうちかずひろ
出演:遠藤憲一、白鳥玉季、竹中直人、高畑淳子、ほか
配給:ショウゲート

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