旧奈良監獄、最後の公開にファン集まる

2018.11.24 17:00

ロマネスクを基調としたモダンな煉瓦壁で統一され、左右対称に整然と配置された建物である旧奈良少年刑務所。工事が完了すれば、日本初の監獄ホテルへと生まれ変わる

(写真3枚)

3年後に控えた日本初の監獄ホテル開業に向け、本格的な耐震改修工事がスタートする「旧奈良少年刑務所」(奈良市般若寺町)。11月23日に関係者が集まり、『旧奈良監獄保存活用事業着工記念式典』がおこなわれた。

モダンな赤レンガ造りの外観やハビランドシステムと呼ばれる放射状に伸びた建物配置の優れた意匠性から、「美しい刑務所」として名高い同刑務所。ジャズピアニスト・山下洋輔の祖父、山下啓次郎が設計し、「明治の五大監獄」(千葉、金沢、長崎、鹿児島)のなかで唯一完全な姿を残す。

3連休(11月23日〜25日)に開催中の『奈良赤レンガFESTIVAL』が改修工事前最後の完全公開ということもあり、見学会は多くのファンで賑わった。5歳と9歳のお子さんと一緒に訪れた杉本さん(奈良市41歳)は、「複雑な造りが迷路みたいで素敵だった。下の子は、不気味で怖かったみたいだが歴史の重みがあった」と感想を語った。

「旧奈良監獄保存活用事業着工記念式典」に参列した奈良県の荒井正吾知事(左から3番目)やゲストの西川きよしら
「旧奈良監獄保存活用事業着工記念式典」に参列した奈良県の荒井正吾知事(左から3番目)やゲストの西川きよしら

ほかにも「内部の吹き抜け等もそのままで改修されると聞いたので、ホテルになったら訪れてみたい」と再訪を望む大阪の70代女性や、「所々朽ちていたが、この建築物は文化だと思うので無くさないで欲しい」と保存の重要性を感じたという兵庫の50代女性も。

多くのファンの声を受け、奈良県の荒井正吾知事は、「バスなどアクセスを完備し、観光の拠点として文化財保存活用の好事例にしたい」と意気込みをみせている。会期中は、『監獄ナイトフェスタ』として夜間見学とプロジェクションマッピングも上映。チケットは24日23時59分まで発売。

取材・文・写真/いずみゆか

『奈良赤レンガFESTIVAL』

日時:2018年11月23日(祝・金)~25日(日)・10:00〜17:00
会場:旧奈良監獄(奈良少年刑務所/奈良市般若寺町18)
料金:一般1000円、小中高生500円(前日までの申込み)
※当日券販売なし、キャンセル不可
電話:0120-300-424

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