村上虹郎「お芝居とは心理の極みの表現」

2018.11.26 18:00
(写真4枚)

「そういう意味で『青春映画』ですよね」(村上虹郎)

──俳優という仕事の魅力はなんだとお考えですか?

結局、「人間学」なんですよね、演じるということは。ある意味、心理学でもあるし、人間を追求するというか。お芝居って心理の極みの表現だと思うんです。それは面白いですよね。

──そういう観点からすると、トオルという役はどんな役ということになりますか?

そうですね、もう少し共感する部分が増えると思います。彼が銃を手にしてからの言動って、僕個人というよりも、多くの若者にとって共通する、普遍的なものだと思うんです。つまり、誰もがこうなるんじゃないかという。そういう意味でこの作品は「青春映画」ですよね。武(正晴)監督にも訊いたんです。トオルって今ならではの青年なんですかって。そしたら「いや、20年前にもこういう奴はいたよ」と。ああ、やっぱり普遍的な若者なんだなと。

「多くの若者にとって共通する、普遍的なもの」と語った村上虹郎

──武監督の演出はどうでしたか?

現場では伸び伸びとやらせてくださいました。ただ、ホン読み(シナリオの読み合わせ)はきっちりやりました。

──現場でリリーさんとお話されましたか?

他愛のない話をさせていただきましたが、唯一盛り上がったのが麻雀の話でした。

──村上さん、麻雀なさるんですか?

以前、テレビドラマで不良を演じたときに役作りで覚えたんです。いまも不良役ですけど(と、染めた髪をさわる)。麻雀、今はしませんが、覚えておいてよかったです。リリーさんとお話ができて。ちょっとエロ話を交えたりなんかして(笑)。

──広瀬アリスさんとの共演はいかがでした?

広瀬さんに限らず、実は今回あまり出演者の方と交流する機会がなくて。ただ、アリスさんとの最後の共演シーンで、大学で彼女がトオルに説教するようなシーンがあるのですが、実は原作にないんです。今回、今ならこういうシーンがあった方がいいだろうと、原作者の中村文則さんが映画のためにわざわざ書き下ろしてくださって。あの彼女の最後のセリフによって明確になるものがやはりあったので、僕もあのシーンはあって良かったなと思っています。

映画『銃』 © 吉本興業

──あそこで彼女にいろいろ言われたトオルが見せる表情がなんとも言えないです(笑)。

そうなんです。トオルは、基本的に常に上から目線の男なので。でも、それでいてマゾ的な嗜好もある。

──共演者の方のお話でいうと、この方のことも訊かなくてはなりません(笑)。実のお父さん・村上淳さんとは、デビュー作の『2つ目の窓』以来のご共演ですか?

そうですね。もう1本、ミュージシャンの方のPVに一緒に出たことはあるのですが、そのとき絡みはなかったので。映画ということで言っても、これがデビュー作以来の共演です。

──村上淳さんが、あの役で出演されるということは事前にうかがっておられたのですか?

知っていました。ただ、あの役は、最初はほかの方が演じられると聞いていたんです。それがNGになったと聞いて、誰がやられるのかなと思っていたんです。そしたら村上淳だと聞いて、爆笑しました(笑)。

──嫌ではなかったですか(笑)。

楽しかったです。ただ、初号試写のときも隣に座って観ていたので、なにか言われるかなって、そのときはちょっと嫌でした。でも、褒めてくれて。普段から、ダメ出しや悪い部分を指摘することはしない人なんですけど。

──よく、お話はされるのですか?

します。あの人はこうだったとか、先輩の俳優さんの話をよくしてくれます。

──もうひとつ、村上さんとの絡みの後の、要するにラストシーンでのトオルの表情がやはり強く印象的です。あの表情は、武監督の演出だったのでしょうか?

それが、ほんとによく覚えていないんです。ただ、脚本には書いてなかったのは確かです。あそこで刑事役のリリーさんがトオルを見つける。それは書いてあるのですが、刑事を見てトオルが見せるあの表情。あの流れでは自然にあの表情になるのでは、ということしか言えないですね。その意味や、なにを考えてああしたのか言おうと思ったら言えなくはないです。でも、それは言わない方がいい。観てくれた人が、それぞれで感じてくださったら、それがいいと思います。

映画『銃』

2018年11月17日(土)公開
監督:武正晴
出演:村上虹郎、広瀬アリス、リリー・フランキー、ほか
配給:KATSU-do、太秦

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