玉三郎「まさかシネマ歌舞伎になるとは」

2018.12.1 07:00

シネマ歌舞伎の最新作について語る坂東玉三郎。桃山時代から続く京都・樂家の茶室や、終演後の歌舞伎座の風景なども収録され、作品の世界観をより体感できる

(写真2枚)

シネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)/楊貴妃』で淀の方と楊貴妃を演じた坂東玉三郎が、大阪市内でおこなわれた製作発表に登場し、作品への思いを語った。

シネマ歌舞伎とは、歌舞伎の舞台公演をHDカメラで撮影し、映画館のスクリーンでデジタル上映するもの。今回映像化された『沓手鳥~』は、大坂夏の陣で落城寸前となった大阪城で、息子・秀頼への愛を貫こうとする淀の方の姿を描いた名作。2017年10月に東京「歌舞伎座」で上演され、玉三郎が初役で淀の方をつとめた。

玉三郎は、「まさかシネマ歌舞伎になるとは自分でも思っていませんでした。この作品自体、写実を追求する新歌舞伎として作られているので、三味線などの下座音楽を入れたり、雨や風の効果音を入れるような歌舞伎様式で、上演することが難しかった」と苦労を明かす。

「舞台でも、最初の場を入れて見やすくしたことでシネマ歌舞伎として成立したのだと思います」と玉三郎
「舞台でも、最初の場を入れて見やすくしたことでシネマ歌舞伎として成立したのだと思います」と玉三郎

また、夢枕獏描き下ろしの舞踊劇『楊貴妃』は2017年12月に同じく「歌舞伎座」で上演されたもの。市川中車扮する方士を相手に絶世の美女を艶やかに演じている。「奇しくも、2作品とも時代によって人生を大きく変えられた女性の話になりました」と玉三郎。対照的な2人の女性を熱演している。シネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)/楊貴妃』は、2019年1月12日より全国で公開される。

取材・文・写真/岩本和子

シネマ歌舞伎『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)/楊貴妃』

2019年1月12日(土)公開

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