全盲の天才ドラマー少年、10年に密着

2018.12.22 19:00

ドラムを練習する酒井響希くん(当時11歳) © ytv

(写真2枚)

2歳のときに目の小児がんで両目を失明した、大阪府東大阪市在住の12歳の酒井響希(さかい・ひびき)くん。全盲でありながら、数回聞けばほぼ再現できるという天才少年ドラマーの10年を追ったドキュメンタリーが、読売テレビで放送される。

響希くんが1歳10カ月の頃、母の康子さんが、息子の眼球に異変を感じ、病院で検査をしたところ、両目に網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)という小児がんが発覚。その日のうちに、医師から「両目を摘出するしかない」と宣告された。2歳の幼い少年にはあまりにも過酷な現実。本人も家族も毎日、悲しみの淵にあった。

そんな絶望の日々のなかで、救いとなったのは「音」だった。家中の壁や柱などが傷だらけになるまで、鉄製のマドラーで叩いていた響希くん。本人が興味を持つものはできるだけサポートしたいとの思いから、両親は自宅に電子ドラムを購入し、響希くんの興味を応援した。

響希くんの人生を大きく変えたのは、人気ユニット・Def Techとの出会いだった。2013年12月20日。メンバーのMicroが彼に伝えた「4年後、Def Techのステージでドラマーとして共演しよう!」という言葉を胸に刻み、響希くんはドラムに熱中する。プロドラマーを目指し、自宅にも防音設備を整えたドラムセットを設置。プロの指導者にも教わるようになった。

2018年7月28日、Def Techと共演した酒井響希くん © ytv

そしてこの夏、響希くんは憧れのDef Techとの共演を果たす。大歓声に包まれた夢のステージで、「音楽を通して同じような境遇の人に勇気を与えたい」という熱い想いで演奏を披露した響希くんは、最後にこう叫んだ。「ママ、もう泣かんといてな!」。

観衆のなかにいた母への感謝の想い。響希くんの次なる目標は、2020年パラリンピック開会式での演奏だ。「見えない世界」で前向きに生きる少年と、それを支える母の10年の軌跡。この模様は12月23日・深夜1時40分から放送される。

読売テレビ『ママ もう泣かんといてな~12歳 全盲ドラマーが奏でる‘音の世界’〜』

放送:2018年12月23日(日)・深夜1:40〜

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