大胆な表現に驚き、大阪の陶磁器写真展

2019.1.9 08:00

左:青磁陰刻 花文 唾壺 高麗時代、12世紀 右:エリック・ゼッタクイスト《青磁陰刻 花文 唾壺》2016年

(写真5枚)

陶磁器の名品で知られる「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)で、写真と館蔵品がコラボしたユニークな展覧会『オブジェクト・ポートレイト』が、2月11日までおこなわれている。

同展では、ニューヨークを拠点とするアーティスト、エリック・ゼッタクイストの写真作品34点を、その被写体となった陶磁器とともに紹介。ただし、その写真がただものではない。被写体の細部に着目して撮影した画像をコンピュータで加工し、モノトーンのシルエットや線に還元して提示しているのだ。

左:エリック・ゼッタクイスト《青磁象嵌 菊蓮花文 瓜形水注》2016年 右:青磁象嵌 菊蓮花文 瓜形水注 高麗時代、12~13世紀

陶磁器の全体ではなく細部、それも色や質感を排除した線と面だけの写真は、まるで抽象画かグラフィックデザインのよう。その斬新さには目を見張らざるをえない。作者のゼッタクイストは1992年までの10年間、現代美術家・杉本博司の下で働きながら写真と東洋の古美術を学んだ。つまり、東洋陶磁に深い愛着と知識を持っているのだ。そんな人がここまで振り切った表現をおこなう勇気に驚かされた。それはこの企画を実現した美術館にとっても同じだ。

なお、本展は平常展や特集展の部屋にまたがって展示されている。ゼッタクイストが選んだ34点を含め、総数約200点の名品が鑑賞できるので、普通の陶芸展として鑑賞しても十分楽しめる。料金は一般600円。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『オブジェクト・ポートレイト Object Portraits by Eric Zetterquist』

期間:2018年12月8日(土)~2019年2月11日(祝・月)※月曜休(1/14・2/11開館、1/15休館)
時間:9:30~17:00(入館は閉館30分前まで) 
会場:大阪市立東洋陶磁美術館(大阪市北区中之島1-1-26)
料金:一般600円、大高生360円 ※中学生以下、65歳以上無料
電話:06-6223-0055

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