奈良に、貴重な肉筆浮世絵の名品が集結

2019.1.17 06:00

左から、歌川国長《椿と花魁図》江戸時代(19世紀)奈良県立美術館蔵、山口素絢《太夫雪見図》江戸時代(19世紀)京都府蔵(京都文化博物館管理)後期(2/19-3/17)展示、菱川師房《見返り美人図》江戸時代(17-18世紀)奈良県立美術館蔵

(写真3枚)

江戸時代に成立した絵画ジャンル「浮世絵」。なかでも1点物ゆえ貴重とされる肉筆浮世絵の展覧会が、「奈良県立美術館」(奈良県奈良市)で1月19日からおこなわれる。

浮世絵は大別すると、木版画、版本の挿絵、肉筆浮世絵に分けられるが、大量生産された木版画や挿絵に対して、肉筆浮世絵は絵師直筆の絵画。本展では4章構成で肉筆浮世絵の世界に迫る。まず第1章では、浮世絵の先駆である近世初期風俗画(室町時代後期~江戸時代前期)を紹介。また、寛文期に人気を博した「寛文美人」も展示する。第2章では浮世絵の代表的な画題である「美人画」に着目し、黎明期(17世紀後半)から爛熟期(19世紀)まで時代を追って変遷を概観。第3章では、新奇な構図で人気を博した「浮絵」が並び、第4章では人々の期待に応えて浮世絵師が手掛けた多彩な作品が見られる。

2代鳥居清信《矢の根五郎》絵馬 江戸時代(宝暦4年=1754)西大寺蔵

なお、本展の作品には「奈良県立美術館」が所蔵する『吉川観方コレクション』と『由良コレクション』が含まれており、特に前者は肉筆浮世絵の充実ぶりが有名だ。直筆ならではのダイナミックな筆遣いや細やかな彩色が見事な肉筆浮世絵の世界。木版画の浮世絵しか知らない人が見たら、今まで抱いていたイメージが一変することになるだろう。期間は3月17日まで、料金は一般400円。

文/小吹隆文(美術ライター)

企画展『姿の美、衣装の美・・・ 肉筆浮世絵』

期間:前期/2019年1月19日(土)~2月17日(日)、後期/2月19日(火)~3月17日(日)※1/21・28・2/4・12・18・25休
時間:9:00~17:00 ※入館は16:30まで 
会場:奈良県立美術館(奈良市登大路町10-6)
料金:一般400円、大高生250円、中小生150円
電話:0742-23-3968

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