昭和と平成をヒーローで回想する展覧会

2019.1.19 09:00

会田誠の新作《MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~》 痩せこけた旧陸軍二等兵が国会議事堂(墓石)に指をかけている。展示室を目一杯使った超大作で、ねぶたの技法で作られている

(写真5枚)

平成の世がいよいよ終わろうとする今、我々が生きてきた時代を振りかえる野心的な展覧会が3月17日まで開催中。「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)の『Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー』だ。

同展は昭和と平成、ふたつの時代の様相を、ヒーローとピーポー(=ピープルの造語)という対照的な存在に着目。昭和初期の東京の風俗や、戦時中に描かれた戦争画や銃後の人々、戦後の労働運動、過激な集団パフォーマンスや若者風俗をテーマにした映像など、大衆の姿を捉えた作品がある一方、ゴジラ、ウルトラマン、月光仮面、のらくろ、黄金バット、怪人二十面相といった時代のヒーローたちの姿も見られる。また、漫画や紙芝居など大衆メディアも多数展示されている。さらに、現在活躍中の4作家(会田誠、石川竜一、しりあがり寿、柳瀬安里)が、同展のための新作を発表しているのも見逃せない。

「集団行為」の会場風景。戦前戦後の労働運動をテーマにした絵画、写真などがある一方、画面の奥には漫画雑誌『ガロ』がずらり

展示構成は、集団行為、奇妙な姿、特別な場所、戦争、日常生活の5章仕立て。作品総数は約400点に上る。映像作品が複数あるので、鑑賞時間は軽く2時間を超えるかも。膨大な作品に浸って、ふたつの時代と向き合ってほしい。期間は3月17日まで、料金は、一般1300円。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー』

期間:2019年1月12日(土)~3月17日(日)※月曜休(2/11開館、2/12休館) 
時間:10:00~18:00(金土曜~20:00)※入場は閉館30分前まで
会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:一般1300円、大学生900円、70歳以上650円、高校生以下無料
電話:078-262-0901

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