しりあがり寿の新作「ヒーローって何?」

2019.1.20 08:00

美術館の吹き抜け階段部分に展示された《ヒーローの皮》。「僕は美術館の展覧会でいつも展示室の外に作品が置かれる。今回こそはと思ったけど、やっぱり外だった」としりあがり寿

(写真7枚)

「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で開催中の『Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー』展。時代をヒーローとピーポー(ピープルの造語)から振りかえる同展では、現在活躍中の4作家(会田誠、石川竜一、しりあがり寿、柳瀬安里)が新作を披露し、話題となっている。

しりあがり寿は『ヒーローの皮』と『地蔵マンZ』を出品。前者は関西のご当地ヒーローたちのユニフォームを吊るしたインスタレーションで、まるで洗濯風景。薄っぺらいユニフォームの内側に生身の人間がいることを思わせ、「ヒーローも普段は服を脱いでいるの? コスチュームを洗濯をするの?  だったらヒーローって何? と考えていただければ」とコメント。後者はアニメ作品で、主人公のやる気のなさが際立っている。どちらもヒーローの相対化を意図したものだ。

会田誠と新作《MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~》。作家と対比したら、作品の巨大さが分かるはず

会田誠の『MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~』は、ねぶたの技法で作られた超大作。痩せこけた旧陸軍二等兵が国会議事堂(墓石)に指をかけており、無名の人々と権力の関係、過去と現在の歴史を思い起こさせる。超大作なのに中身がスカスカというのもアイロニーが効いている。会田誠は「この作品を作るにあたって『日本軍兵士:アジア・太平洋戦争の現実』(著者:吉田裕)という書籍を参考にしました。日本軍の犠牲者は戦死よりも餓死の方が多かったそうです。だからこの作品の兵士はがりがりに痩せているのです」と説明した。

『Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー』

期間:2019年1月12日(土)~3月17日(日)※月曜休(2/11開館、2/12休館) 
時間:10:00~18:00(金土曜~20:00)※入場は閉館30分前まで
会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:一般1300円、大学生900円、70歳以上650円、高校生以下無料
電話:078-262-0901

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