恒例の評論家鼎談、洋画・勝手にベスト3

2019.3.9 19:00

Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』

(写真3枚)

「婆さんになってからの方が全然魅力的」(春岡)

春岡「『アリー/スター誕生』はビックリした。ブラッドリー・クーパー監督、やりよるなって」

斉藤「役者としては、1977年版(全米は前年公開、以下同)のクリス・クリストファーソンの真似してるなって感じがどうしてもするんだけど(笑)、演出がめっちゃ上手い」

春岡「あいつスゴいぞ。あれだけ男前で、演出の腕もクリント・イーストウッドのレベルだぜ」

斉藤「イーストウッドの弟子だからね」

田辺「イーストウッドが今回の企画を回してくれたんですよね。たしかビヨンセが妊娠したことで延期になって、プロジェクトが流れて」

斉藤「ガガちゃんは絶対女優としても上手いとステージング観てて思ってたけど、やっぱり上手かった。圧倒的」

春岡「それがあったにしても、あのブラッドリー・クーパーの演出は上手い」

斉藤「公開前のCMで、マツコ・デラックスが『ベタ砲』とかって言ってるけど、お話自体はほんまにベタなんよね。でもあのベタさがないと、ワーナーお家芸の『スター誕生』って演目じゃなくなるから(笑)。でも僕が震えたのは、ガガちゃんの鼻とか指とかに、なにかというとフェティッシュにクローズアップしまくる変態的なクーパーの演出ね。今年いちばんエロティックな画だったと思う」

春岡「30年に1回リメイクされてきて、それがまた毎回ちゃんとした映画で、その時代に合ってるっていうのがスゴいじゃん。1937年版がオリジナルだけど、話もまったく変わってない。それでずーっとやってて、毎回その時代に観た人間がいいなぁって言ってんだからすごいよ。あと、アニエス・ヴァルダとJRが監督・脚本・出演した『顔たち、ところどころ』もいいよなぁ。アニエス・ヴァルダと、フランス人アーティスト・JRとのコラボレーションを追いかけたドキュメンタリー映画だけど、ベスト3に入れたいところではある」

斉藤「最高です。やっぱりアニエス・ヴァルダって、自分でビデオ・カメラを手にしたときから変わったよね。『幸福』(1966年)の時代より、全然いいもん」

春岡「やっぱり、ヌーヴェルヴァーグの人たちは、自由にカメラを回すとスゴいよ。婆さんになってからの方が全然魅力的(御年90歳)」

斉藤「(105歳まで撮った映画監督)マノエル・ド・オリヴェイラ以上でしょう(笑)。また、ビサージュ・ヴィラージュ(Visages Villages)って原題が洒落てる。邦題の『顔たち、ところどころ』も悪くないけど、やっぱ音的にね」

春岡「6月に上半期の鼎談をやったときは、ほとんどアカデミー賞関連の作品ばっかりで、まあ、この時期はしょうがないかぁとか言ったんだけど、下半期になっても、結局上半期で1位にした『ファントム・スレッド』を抜けるのがなかったよね」

斉藤「『ヘレディタリー』だけだね。あ、『きみへの距離、1万キロ』は? あれ、下半期じゃなかった?」

田辺「あれ、面白かったですけど、4月公開なんで上半期ですね」

春岡「じゃあ、外国語映画トップ3は、『ヘレディタリー/継承』『メアリーの総て』『顔たち、ところどころ』ってところか。バランス的にも面白いんじゃない」

田辺「確かにほかのメディアでは、この3本は挙がらないかもですね」

斉藤「そやね。じゃあ、飲みにいこっか(笑)」

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