マリメッコの元デザイナー、琳派と競演

2019.3.14 06:00

あひるや鴨が描かれた鈴木其一「水辺家鴨図屏風」の前には本展に向けて制作された冬瓜を展示

(写真6枚)

「マリメッコ」で32年に渡りテキスタイルデザイナーを務め、現在は「アラビア」のアート部門で作陶に取り組む石本藤雄。彼の京都初となる展覧会が「細見美術館」(京都市・左京区)で4月21日まで開催中だ。

本展では、石本が生み出した400点を超えるマリメッコデザインのなかから厳選したファブリックのインスタレーションやデザインの基になった原画、近年手掛けた陶の作品を紹介。2018年に石本の生まれ故郷である愛媛県でおこなわれた大規模な展覧会の巡回展ながら、今回は「琳派との対話」というサブタイトルも追加された。

マリメッコ時代、32年で400点を超えるテキスタイルデザインを生み出した石本藤雄。77歳を迎えた現在もなお、アラビアのアート部門に所属し、陶芸作品を生み出している(3月・京都市内)

会場となるのは、琳派のコレクションで知られる「細見美術館」で、美術館所蔵の琳派の作品との競演も見どころだ。「今回の展覧会にあたり、細見美術館所蔵の作品を見せてもらったら、僕がマリメッコ時代にデザインしたテキスタイルと琳派の人たちが描いていた植物に共通点があると改めて感じました。今思えば、芸大時代から、俵屋宗達や尾形光琳は、僕自身の美の表現のベースになっていましたね」と 石本は語る。

たとえば、第3展示室には中村芳中の「花卉図画帖」と石本の陶のレリーフ「紅白花」が展示されているが、彼自身も自作と近しく感じ、思わず「あれ!?」と驚いたそう。また、第2展示室では、「ビジュアル的なコンビネーションがすごくうまくいっています」と、酒井抱一の「槇に秋草図屏風」の前に色皿を展示。題材に共通点がなくても、感覚的に近いと感じる作品も多いという。

ミュージアムショップでは、本展でしか買えない限定アイテムや、石本デザインのグッズもラインアップ。マリメッコやアラビアなど、北欧雑貨好きの女性の心をくすぐる商品も多く、こちらも見逃せない。

取材・文・写真/天野準子

『マリメッコの花から陶の美へ 石本藤雄展-琳派との対話-』

期間:2019年3月9日(土)~4月21日(日)※月曜休 
時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで 
会場:細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町6-3)
料金:一般1300円、学生900円
電話:075-752-5555

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