千眼美子「やっぱりお芝居がやりたい」

2019.3.19 13:00
(写真4枚)

「やっぱり全力投球は変わらないです」(千眼美子)

──役に対して思いを馳せたり、深層心理をもっと掴んだり、という点については、これまでと比べてどうですか。特に今回は復帰後初めての主演でもありますし。

してましたね。してたんですけど、清水富美加最後の1年くらいは、どこまで役の思考回路を演技に落とし込めるか、与えられた役の代弁をすることに徹してたんです。その点では、カメラの回っていないところでも、思考も全部その役に染めていくというのは一緒なんですけど、この映画が持っているメッセージ性はなんなのか、実際観てくれた人にどう感じて欲しいのか、その先まで考えていたかというと、これまでは役に集中しすぎて見えてなかったかもしれない。

「この世界もすでに魔法界なんだと実感」と千眼美子

──そういう意味では、女優としてひとつ扉が開いた感じですかね。

そこは役者として変わったところかなと思います。だけど、やっぱり全力投球は変わらないです。もともとお芝居を始めたときから、当時のマネージャーさんやスタッフさんから「お前はバラエティ向きだ」って言われてたし、監督からも「君は女優じゃなくて、バラエティの方がいいと思うよ」って言われまくってて。

──これまでの出演作品を観てる限り、そんなことないと思いますが。

ありがとうございます。だけど、それでも自分の思いを貫いて、「お芝居がやりたいんです!」って言ってたんですよ。でも、ずっと怒られるもんだから、「あ、ホントに自分は下手なんだな」っていうのが心底分かって。それに気付いちゃったから毎回、毎回全力投球。その全力投球すら、毎回更新していかないと上手くならないから、もう毎回必死でした。

──やっぱりお芝居がいちばんやりたい、と。

昔はずっと辞めたいって思ってたんです、全力投球がしんどすぎて。千眼美子になってちょうど2年経つんですけど、宗教家として活動して、女優はどうなるのかなって。そう思ってたんですけど、3年目を迎えようとしている今、なんでお芝居が好きなのかとか、ずっとずっと考えていて。でも、なんでこんなに辛かったのに頑張れたのかなって考えてたら、普段の生活のなかでも、本気で誰かとぶつかり合えたりすることって、大人になるとなかなかないじゃないですか。

──たしかに、大人になるほど少なくなりますね。

本気で誰かと語り合ったり、感情をぶつけ合ったり。それは現実世界でもそうだし。でも、お芝居をしてると、セリフじゃなくなる奇跡的な瞬間があるんです。毎回、100点満点は出ないけど、その瞬間を求めて、いろんな現場やレッスンに行って自分を磨いています。いつか辞めたいと思っていた職業だったけど、樹木希林さんみたいになりたい!と思えるようになってきて。やっぱり、お芝居がいちばんやりたいことですね。

「やっぱり、お芝居がいちばんやりたいことです」と千眼美子

──期待に応えるために一生懸命になりすぎて、それがしんどさに繋がってたのかもしれませんが、私の周辺では「あんな女優はなかなかいない」って評判でしたよ。

えぇ、めっちゃうれしいです! この録音したの、ダビングして欲しい。これで毎朝目覚める!

──今回は劇中で、2役にも挑戦しています。これもまた、新たな刺激になったんじゃないですか?

昔に負けず、いろんな役をやっていきたいと思います。そういう意味では今回、明るい役が続こうとしてるなかで、2役をやらせていただいたのは、経験としても、対比としても、いろんな意味で面白かったです。

──ブラックな千眼さんも出てきて。これまでにない色気がありました。

意外と、ブラックが好評なんです(笑)。いろんな人があっちが好きって。大人になってきたんです(笑)。そう思っていただけるとめちゃくちゃうれしいです。

映画『僕の彼女は魔法使い』

2019年2月22日(金)公開
監督:清田英樹
出演:千眼美子、梅崎快人、春宮みずき、佐伯日菜子、ほか
配給:日活

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