サンテレビ初の連ドラで主演、鳥居みゆき「不完全燃焼が成功」

2019.4.4 19:00
(写真7枚)

「本来はそっち側の人間だったはずなんだけど」(鳥居みゆき)

──今回、サンテレビが開局50周年を記念して初めてドラマ制作に挑んだ作品ですが、サンテレビはご存じでした?

知ってました。昔、1回だけ出たことあるんですよ。それでサンテレビが頭にあって、野球の中継ばっかりやってるのは聞いたことある。東京にいる関西出身の芸人も、「サンテレビに出る」って言ったら「マジで!?」って驚いてた。あっちの野球好きはすごくうらやましがります。でも、どうしちゃったの? 野球はもう終わりと思ってるのかな。

──むしろペナントレースが始まったばかりですが。

なんでその時期に、初めての連続ドラマをぶつけてきたの? 新しいターゲットを開拓しようとしてるとか? でも、それだったら、絶対に島田監督じゃないでしょ。ターゲットが違い過ぎるでしょ。

──ターゲットの裏の裏、みたいな。でも、栄えある連続ドラマで主演です。

すごいでしょ。でも、島田監督と私って、どうしちゃったのかな。

ドラマ『元町ロックンロールスウィンドル』(サンテレビ)のワンシーン

──今回、鳥居さんが演じるのは、神戸・元町にある古着屋のオーナー・マリアです。

そう、オーナー。で、そこに訪れるお客さんが毎回ゲスト出演で変わっていって、1話完結モノなんだけど、最終的に13話でマリアの全貌と、それまでの伏線が回収できるようになってます。毎回、事件という事件はないんですよ。訪れるゲストの個人的な悩み、人に言えないものを後押しするというか。心に寄り添った古着屋さんの心の衣替え、みたいな。そういう感じで服を選んでいって、そこから人間ドラマが始まっていく。

──鳥居さんといえば、女優業ではこれまでトリッキーな役ばかりでしたが、今回は人情派。しかも、受けの芝居ですね。

そうなんですよ!島田さんは「主役は個性を出すな」というタイプだから。ホントに大変でした。

──島田さんの作品って、主役が受けて、周りが騒ぎまくるというのが多いですよね。

私、本来はそっち側の人間だったはずなんだけど・・・。ドッチボールの外野だったのに、なんで内野に・・・。しかもボールは全部よけるんじゃなくて、受けてゲストに渡さないといけない。でも、そういう人間はひとりは必要だし、そっち側じゃなかった人間がそっちになれるというのも面白いなって。私なりのチャレンジです。

──かなりフレッシュですよね、鳥居さんの受けの演技って。

初めてですもん。だから、仕事した感が一切なかった。ホント、不完全燃焼。だけど、それがたぶん成功なんだろうなって思う、主役って。やっぱり私はわがままだから、人を生かさなきゃいけないっていうのはすごい許せないんですけど、今回は我慢しました。

ドラマ『元町ロックンロールスウィンドル』(サンテレビ)のワンシーン

──我を抑えて、ゲストを生かすという。

そう。私だってホントは個性があるのに、個性がないみたいな扱いをされて。でも、分かったんですよ。クマのプーさんがね、「なにもしてないをしてるんだよ」って言ったことがあるんですよ。だから、「個性がないのが個性」なんです。

──ちなみに、その日の撮影が終わると、どこかで個性を爆発させたりするんですか?

もう、ひたすら自分と向き合ってました。ホテルにず〜っと籠もって、ゲームしてました。でも、ひとりで居ようと決めて。ホントは私も、自由にイエェェェーイってやりたかった。でも、そんなのは主役だから許されない。

──でも、今回のマリアは相当格好いいですよ。収めようと思っても飛び出してしまう個性というか、鳥居さんのパブリックイメージとはまた違う、すごくいい女。

いい女? ホント? やった!

──マリアの衣裳も革ジャンとか、古着屋のオーナーらしいオシャレなファッションで。それもドラマのひとつの見どころになっているとか。

そう、格好いいんですよ。毎回シーンごとに衣裳が違って。そのぶん、撮影の時間もかかりましたけど。全13話で100着くらいあります。

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