新生・南座、新時代に向けて「かぶく」

2019.5.12 09:00

DJも入る『夜マツリ』では、昼にも増して芝居小屋らしからぬトリップ空間に

(写真3枚)

400年以上の歴史を持つ、日本最古の芝居小屋「南座」(京都市東山区)。昨年の改修で新しく採用された、1階座席をすべて取り払える機構「客席フルフラット化」を活かした新しい試みとして、イベント『京都ミライマツリ2019』が、5月12日~25日に開催される。

リニューアルオープン記念の一環で、歌舞伎を中心とする舞台公演に加え、アリーナ空間を最大限に活かせるイベントを自ら企画した南座。1階に屋台やクラブブースを持ち込み、劇場を丸ごとお祭り空間に変えるという、劇場の長い歴史のなかでも例のない試みに挑戦することになったという。

「伝統を大切にしつつ新しいことのできる企画を募り、『お祭』ならそのアイディアをひとつの空間で実現できる」と、南座宣伝の石田佳耶さん。内部からは不安の声も少なからず上がったそうだが、「今回ご協力いただいたネイキッドさんによるデジタルクリエイターのプロの技を見て話し合い、その不安を解消していきました」という。

その結果、本物の水を大量に使う、歌舞伎の大仕掛け「本水(ほんみず)」を活かしたプロジェクションマッピングや、カラフルな照明と大音響でクラブさながらの雰囲気にするなど、異色の空間が出現。そもそも『歌舞伎』は「かぶく=常識から外れる」が語源なので、これは歌舞伎の劇場そのものが「かぶき」に挑んだと言えるだろう。

DJブースも大量の水が。イベントでは、DJにtofubeats(17日)、EXILE MAKIDAI(18日)などが出演する

実際、長年の歌舞伎ファンからは「歌舞伎らしさが感じられない」という戸惑いの声も聞かれた。しかし、「いつもはおごそかな空間が、こんなに華やかになるなんて」「みんなで一緒に踊るとか、普段の南座だとできない体験」と、このイメージ破りを支持する30代の女性歌舞伎ファンも。また今回初めて南座に入ったという20代の男性は、「すごく古風な空間に未来の技術があるという、そのギャップが面白い」と感銘を受けたようだった。

『京都ミライマツリ2019』は「昼マツリ(11時から)」「夜マツリ(6時半から)」の2部制で、チケットは昼・大人2000円、子ども1000円(ワンドリンク付)、夜・2000円など。

取材・文・写真/吉永美和子

『京都ミライマツリ2019』

日程:2019年5月12日(日)~25日(土) ※夜は24日(金)まで
時間:昼=11:00~17:30、夜=18:30〜22:00
会場:南座(京都市東山区四条大橋東詰)
料金:昼=大人2000円、子ども1000円(1ドリンク付)、夜=2000円(金土日は3000円)
電話:075-561-1155

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