柚希礼音、宝塚トップで知ったリーダー像

2019.7.20 06:00
(写真3枚)

「男役じゃない方が恥ずかしいと思う時期も」(柚希礼音)

──本作は新作ですが、新作をクリエイトする醍醐味は何でしょう?

有名作品や再演だと「何々の作品をやる」となったら、「あ、あれね」と観劇前に興味を持ってくださることがありますが、新作は未知だからこそ初日にすごく熱狂的な舞台になるという経験もしていて。ただ、そういう状況を生み出すには、本当にかなり深く作っていかないといけません。

──幕が開くまでは、それが正しいのかどうかという不安もありますか?

いつもあります。初日はこれでいいのか、受け入れていただけるのかと、とても不安です。

──誰もされていないという点で、やりがいはいかがでしょうか?

誰かがやった役も、自分なりのものにするというやりがいはありますが、新作はどういうふうにでも作れるという自由と責任があります。でも、自分の中身が詰まってないとオリジナルには立ち向かえないなと思います。

──20周年の話もありましたが、この20年はいかがでしたか?

20周年というとベテランの域に達してくると思いますが、私は女性役も演じるようになってまだ4年なので、仕草や役作り、歌い方、発声と何から何まで分からないことだらけです。

今も研究中ですが、舞台に立つという点では20年間やってきたので、どのくらい稽古しないと舞台に立ってはいけないとか、そういうことは分かるようになりました。

──宝塚で男役として16年過ごされてきて、今、女性の役を演じてみていかがですか?

バレエ以外の芸事は男役で始まっていて、最初は男役の芝居や歌を恥ずかしいと・・・。ですが、すっかり男役じゃない方が恥ずかしいと思う時期もありました。

ただ「男役は10年かかる」と言われるように、身振り手振り、歩き方や座り方、飲み方などを研究して、最初はぎこちなかったものがだんだんとかっこよくなっていく、そんな10年を過ごしての男役だったなと改めて実感します。

「日々忙しくても、空を見たり、雲の流れを見るように心がけています」と柚希礼音
「日々忙しくても、空を見たり、雲の流れを見るように心がけています」と柚希礼音

──今回はソニンさんとの共演、初タッグですが、ソニンさんの印象聞かせてください。

とても求心力があって、すごく訴える思いの強い方ですね。いつか共演したいと思っていたので、この作品でどういうふうに化学反応が起こるか楽しみです。インタビューなどでお話を聞いていると、休日も朝から晩までメンテナンスをして過ごす感じとか、初日前のピリつき方とか、私と似ているところもあるので、すごく楽しみです。

──今回はロックミュージカルです、歌の方はいかがでしょうか?

歌唱指導の方に歌稽古をしてもらって、そのときに「自分に合った歌い方がある」と言われて。「ソニンちゃんのように歌いたくても、あなたはそういう声帯じゃないんだから、自分の声帯が生きる、自分の体に一番いい声を出しなさい」と言われたことが衝撃的でした。

女性役としてはまだひよっこなので、歌の上手い女性の真似をしたり、どうやって声を出しているんだろうと、色々研究したのですが、体格が違うということは声帯も違う。背が高いということは、太くて低い声であること。それが生きる歌い方があるということを教えてもらいました。なので、今回はその辺りも聴いていただければと思います。

本作は19世紀半ばに女性の権利を求めて労働争議を率いたサラ・バグリーと、彼女とぶつかり合いながらも固い友情を結ぶハリエット・ファーリー(ソニン)ら、自由を求めて闘った女性たちを描いた舞台。ブロードウェイの新進気鋭のソングライティング・コンビ、クレイトン・アイロンズ&ショーン・マホニーが音楽・詞を手がけた新作のロックミュージカルで、世界に先駆けて日本で上演される。大阪公演は10月25日から27日まで「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)にて、チケットはS席12500円ほか(7月20日発売)。

取材・文/岩本

A New Musical「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」

日程:2019年10月25日(金)〜27日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:S席12500円、A席10000円、B席8500円
電話:0570-200-888

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