京都・清水寺に、衝撃の陶芸作品がずらり

2019.8.9 07:00

重要文化財である経堂では、最大1.6メートルの巨大オブジェ群が釈迦三尊像と並び立つ

(写真8枚)

ユニークな造形センスに定評があるアーティスト・桑田卓郎の展覧会が、「清水寺」(京都市東山区)で8月25日までおこなわれている。

赤やピンク、青などの原色と金・白金(プラチナ)が強烈なインパクトを放つ造形作品が、清水寺の静謐な空間を一変させている。欧米のギャラリーやアートフェアで高い評価を受ける桑田卓郎の衝撃的な作品が見ものだ。

清水寺「成就院」の広間には、未知の生物のような極彩色のオブジェがずらり。彼の作品は、一度見たら忘れられないこの造形センスのユニークさで、工芸という範疇を超え、現代アートとしても、高い評価を受けている。

土の中の石が自然に飛び出してできた突起「石爆」は茶碗の見どころとされるが、桑田の作品ではそれを強調してパワフルな表現に

過激に見えるディテールは、どれも伝統的な陶芸の手法、すなわち土と釉薬が溶けたり割れたり盛り上がったりすることで生まれる効果を生かしている。さらに、表現の多くが、茶の湯の茶碗からヒントを得たもの。たとえば、ゴツゴツした突起は「石爆(いしはぜ)」、溶岩のような表面は「梅花皮(かいらぎ)」。いずれも茶碗の鑑賞の見どころとなる釉薬や土の表情を、大きく誇張してポップにしている。

展示作品と桑田卓郎さん。割高台の青い巨大茶碗は、梅花皮状の部分に釉薬を数10キロ使用した迫力ある作品

「桃山時代に、茶碗を変形させて沓形(くつがた)茶碗ができました。僕のぐちゃっとしたオブジェも、茶碗を抽象的にすることから始まった」。独特の作品のベースには、陶芸と茶碗へのリスペクトがある。今回の展示のためにつくった青い巨大茶碗は「割高台(茶碗の底部に切れ目を入れたもの)が見どころです」と桑田。割高台というより、象の足のような迫力である。漫画『へうげもの』の主人公、歪んだ茶碗好きの古田織部がこれを見たら、目尻を下げて大喜びしたにちがいない。観覧は無料、成就院には別途拝観料(大人600円)が必要となる。

取材・文/沢田眉香子

桑田卓郎展『日々(にちにち)』

期間:2019年8月3日(土)〜8月25日(日)
時間:10:00〜17:00 ※会期中無休
会場:清水寺 経堂・成就院(京都市東山区清水1-294)
料金:無料(成就院は特別拝観料が必要、大人600円、小中生300円)
電話:075-551-1234

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