関西演劇、西田シャトナー&行定勲の期待

2019.9.16 06:30
(写真6枚)

「観客側が共感できるような審査ができたら」(西田シャトナー)

──近年関西では『豊岡演劇祭』『近江演劇祭」『大阪フリンジフェスティバル』など、たくさんの演劇祭が開催されています。活気づいていた時代も知るシャトナーさんの目には、どう映りますか?

シャトナー 「インディーズの演劇は経済的に苦しい時期だとは思います。ただ、作風も考え方も違う劇団が穏やかにお互いを尊重し、『お前の演劇なんて、クソだよ!』なんて怒鳴り合わずにフェスティバルができる時代が到来したんでしょうね。昔なら殴り合ってた人たちもいたんです(笑)」

上段左から夕暮れ社 弱男ユニット、中野劇団、下段左からザ・プラン9、コケコッコー
上段左から夕暮れ社 弱男ユニット、中野劇団、下段左からザ・プラン9、コケコッコー

──なるほど(笑)。今回はフェスティバルディレクター、SPサポーター、観客、劇団の返答を公開でおこなうティーチインが実施され、『交流』ができる観客参加型の演劇祭ですし。

シャトナー 「先日も、私が審査委員長をつとめさせていただいているある演劇祭の本戦があったのですが、一緒に審査した演出家の方が、一度観ただけではなかなか気づけないような劇構造を見事にアフタートークで看破し、お客さんに語ってくれました」

──それはお客さんにとっても貴重な時間ですね。

シャトナー 「同じ作り手だからこそ見えるものがあるし、お客さんに『すごい作品だったんだ!』と、新たな価値基準を提示できることもあるでしょう。でも『そんなにすごいんなら、今、目の前で感じさせてくれたらよかったのに・・・』と思うお客さんもいると思うんですよね」

上段左からオパンポン創造社、幻灯劇場、三等フランソワーズ、下段左から東洋企画、なりそこないプリンセス、遊劇舞台二月病
上段左からオパンポン創造社、幻灯劇場、三等フランソワーズ、下段左から東洋企画、なりそこないプリンセス、遊劇舞台二月病

行定 「確かに解説を通してではなく、作品自体で見せてくれ!ってなりますね(笑)」

シャトナー 「ですよね。僕は客席歴も長いので、観客側が『確かに、あそこ良かったよな』と共感できるような審査、トークができたらいいなと思っています。お客さんは分かっていて、作り手が自覚していない魅力というものが結構あるんですよ」

──行定さんは、審査での注目点はありますか?

行定 「絶対に必要だと思っているのは、脚本力ですね。僕、映画を作るときも映像の脚本家ではなくて、劇作家とやることが多いんです。芝居を観て刺さってくる言葉をもらえると、『この人がこういうものを書いたら面白いだろうな』とか、期待値やポテンシャルを感じることが多くて。関西の良さが宿っている、魅力的な役者も絶対にいるでしょうしね」

次ページは:「関西にだっていろんな人がいる」(西田シャトナー)

『関西演劇祭2019 お前ら、芝居たろか!』

日程:2019年9月21日(土)〜29日(日)
会場:クールジャパンパーク大阪 SSホール(大阪市中央区大阪城3-6)

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