備前焼・人間国宝作品も、滋賀の大規模展

2019.9.18 06:00

徳利 銘 トシワスレ 桃山時代 16-17世紀

(写真3枚)

岡山県備前市の伊部地域を中心に生産されてきた備前焼。その魅力を紹介する展覧会『The 備前—土と炎から生まれる造形美—』が、「MIHO MUSEUM」(滋賀県甲賀市)で12月15日までおこなわれる。

備前焼は釉薬を一切使わない「焼き締め」の技法で作られるやきものだ。それゆえ窯のなかで偶然生じたさまざまな景色に特徴があり(模様の出方によって、窯変、緋襷(ひだすき)、牡丹餅、胡麻、桟切などに分類される)、古くから日本人に愛されてきた。やきものは「土と炎の芸術」と呼ばれるが、シンプルながら奥の深い備前焼は、その真骨頂と言っても過言ではない。

金重 陶陽 青備前諫鼓鳥香炉 昭和13年(1938)

本展は3つのテーマで構成される。「1章 源流としての備前焼」では桃山時代から江戸時代に焼成された茶の湯の器を中心に、中世の作品も含めた44件で古備前の魅力を紹介。「2章 近代の陶芸家と備前焼」では、備前焼作家として初めて人間国宝に選ばれた金重陶陽や、古備前に魅せられて作陶に取り組んだ藤原啓ら近代の6作家・44件を、「3章 現代の備前焼」では、独自の素材と造形で表現の可能性に挑戦する現代陶芸家9名の作品61件が展示される。

備前焼は渋い風合いが魅力だが、それゆえ敬遠する人がいるかもしれない。しかし古備前から現代作家までを網羅する本展を見れば、食わず嫌いも一変するだろう。時代を超えて愛される備前焼の世界を満喫する絶好のチャンスだ。料金は一般1100円。

文/小吹隆文(美術ライター)

『The 備前−土と炎から生まれる造形美−』

期間:2019年9月14日(土)〜12月15日(日)※月曜休(9/16・23・10/14・11/4開館、9/17・24・10/15・11/5休館)
時間:10:00〜17:00 ※入館は16:00まで
会場:MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300)
料金:一般1100円、大高生800円、中小生300円
電話:0748-82-3411

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