スマホで観る現代アート、街を巡る体験型

2019.9.25 06:00

神戸市営地下鉄海岸線 駒ヶ林駅コンコース《白の拷問》 駅コンコース内の秘密空間。米軍がキューバに設けたグアンタナモ湾収容キャンプ内の施設を再現したもの(第9留)

(写真5枚)

兵庫県神戸市の新開地地区、兵庫港地区、新長田地区(神戸市営地下鉄海岸線沿い)を舞台に、『アート・プロジェクト KOBE 2019:TRANS-  』(以下『TRANS-  』)が11月10日までおこなわれている。

各地区に点在する会場を巡りながら作品を鑑賞するスタイルは、今流行りの地域芸術祭と同じだ。しかし、この『TRANS-  』はほかの芸術祭とは様相が大きく異なる。作家はグレゴール・シュナイダーとやなぎみわの2人だけ。しかもやなぎの作品は野外演劇《日輪の翼》公演(10月4日~6日)とドキュメンタリー映像の上映のみとなるので、観客は巡礼のように12の作品を移動しながらシュナイダーの作品を体験することになる。

丸五市場《死にゆくこと、生きながらえること》 商店街でスマホをかざすと、現実にはいない人たちの姿が画面に。別会場で高精細3Dスキャン撮影された人たちが出現(作品を鑑賞するにはアプリダウンロードが必要・第12留)

シュナイダーの作品はとてもユニークだ。彼は既存の場所や施設に手を加えて、時空に小さなねじれを作り出す。観客はそこで、破滅後の世界を見る、悪夢のような迷宮に迷い込む、他人の生活をのぞき見る、ドッペルゲンガー(自分自身の分身)に出会うなどして、「恐怖」に直面するのだ。最初は意図を理解できない人もいるかもしれない。しかし、会場を巡るうちに徐々に作品世界にはまっていき、最後にはこんな体験もアートか、と驚きを感じるに違いない。

会場の起点は、地下鉄ハーバーランド駅とJR神戸駅すぐの商業施設「デュオこうべ」内の「デュオドーム」。そこでチケットを購入しスタートする。また、「TRANS-PASSENGER ticket」(地下鉄海岸線と一部バス路線の一日乗車券、500円)を購入すれば、会場巡りがとてもラクだ。そしてこのチケットを持っていればレンタサイクルも活用できる。期間は11月10日まで、料金は大人1500円(全作品鑑賞券)ほか。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

『アート・プロジェクト KOBE 2019:TRANS- 』

期間:2019年9月14日(土)~11月10日(日)※会場により異なる
会場:デュオドーム、旧兵庫県立健康生活科学研究所、神戸アートビレッジセンター、ほか7会場
料金:大人1500円、大学生と65歳以上500円、高校生以下無料(全作品鑑賞券)、大人500円、大学生と65歳以上200円(個別作品鑑賞券)
※「日輪の翼」公演鑑賞券は当日4500円(前売は一般4000円、25歳以下2500円)
電話:078-333-3372(8:00~21:00/神戸市イベント案内・申込センター)

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