19世紀の前衛・ラファエル前派展、開幕

2019.10.4 06:00

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ムネーモシューネー(記憶の女神)》1876-81年 デラウェア美術館

(写真5枚)

1848年に英国の画学生たちが結成した芸術家集団「ラファエル前派」。その誕生から活躍、交友、共同作業、その後の展開までを紹介する『ラファエル前派の軌跡展』が、10月5日から「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)でおこなわれる。

ラファエル前派が誕生した背景には、美術評論家ジョン・ラスキンの存在がある。彼は風景画を刷新したターナーや旧来のアカデミズムから外れた若い芸術家たちを擁護し、アーツ&クラフツ運動の芽生えを促した。

フレデリック・レイトン《母と子(サクランボ)》1864-65年頃 ブラックバーン美術館

ラスキンの著作『現代画家論』に感銘を受けた若い画家たちは、当時のアカデミズムが唱えた「ラファエロ(イタリア・ルネサンスの画家)に倣うべし」という方針に反旗を翻し、「ラファエル前派」を結成。ラファエロ以前の表現に理想を見出したのだ。そして旧勢力の批判にさらされた彼らを擁護したのもまたジョン・ラスキンだった。

本展では、ラスキンが敬愛したターナーの作品に始まり、グループの主要メンバーだったロセッティとミレイ、第2世代に当たるバーン=ジョーンズ、レイトンやハントなど周縁の画家たち、装飾芸術に天賦の才を発揮したウィリアム・モリスなど、ラファエル前派の軌跡を約150作品で振りかえる。日本で彼らの作品をまとめて見る機会は貴重。大きな話題を呼ぶのは間違いないだろう。なお、大阪会場では一部の作品(約20点)が撮影OKで、これもうれしいポイントだ。期間は12月15日まで、料金は一般1500円。

文/小吹隆文(美術ライター)

『ラファエル前派の軌跡展』

期間:2019年10月5日(土)~12月15日(日)※10/7・21・28休館 
時間:10:00~20:00(月土日祝は~18:00)※入館は閉館30分前まで
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F)
料金:一般1500円、大高生1100円、中小生500円
電話:06-4399-9050

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