三十六歌仙絵、100年ぶりに京都で再会

2019.10.7 07:00

重要文化財 《佐竹本三十六歌仙絵 小大君》 鎌倉時代 13世紀、大和文華館蔵、後期(11/6〜24)展示

(写真5枚)

柿本人麻呂や小野小町、在原業平など、36人のすぐれた和歌の詠み人を描いた鎌倉時代の絵巻物『佐竹本三十六歌仙絵』を中心に、和歌の雅な王朝世界を紹介する展覧会が、10月12日から「京都国立博物館」(京都市東山区)でおこなわれる。

旧秋田藩主・佐竹侯爵家に伝わった『佐竹本三十六歌仙絵』は、今からちょうど100年前にやむを得ぬ事情で37の断簡に分割された。それが過去最大規模で集結することとなった本展は、美術ファンにとって事件と言うべき展覧会だ。

《上畳本三十六歌仙絵 藤原仲文》 鎌倉時代 13世紀、通期展示

佐竹家から実業家・山本唯三郎に売却されたこの歌仙絵は、経営の悪化により再び売りに出された。しかし、あまりにも高価なため誰も手が出せず、絵画流出の噂が立つまでに。そこで、当時の経済界の重鎮で大茶人でもあった増田孝(鈍翁)が発起人となり、歌仙絵を分割して共同購入することになったのだ。

大正9年(1919)12月20日に37の断簡(三十六歌仙+『住吉大明神』)に分割された《佐竹本傘寿六歌仙絵》。この伝説的な事件もあって作品の価値は一層高まったが、同時になかなか見られない秘宝にもなってしまった。現在では流転の末に行方不明になってしまった断簡さえあるほどだ。

本展では、37件の断簡のうち31件が100年ぶりに集結する。また、雅な王朝文化を体現する和歌集や絵巻物なども展示され、国宝5件、重要文化財61件、重要美術品4件を含む140件あまりに及ぶ。会期は38日。京都限定の展覧会ということもあり、全国からファンが殺到するのは間違いない。期間は11月24日まで、料金は一般1600円。

文/小吹隆文(美術ライター)

『流転100年 佐竹本三十六歌仙と王朝の美』

期間:2019年10月12日(土)〜11月24日(日)※月曜休(10/14・11/4開館、10/15・11/5休館) 
時間:9:30〜18:00(金・土曜は〜20:00)※入館は閉館30分前まで 
会場:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)
料金:一般1600円、大学生1200円、高校生700円、中学生以下無料
電話:075-525-2473(テレホンサービス)

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