ASKAが兵庫・西宮で熱唱「待たせたね」

2019.12.23 07:00

ASKA(写真は12/10京都公演の様子)

(写真5枚)

12月10日の京都公演から幕を開け、名古屋を経て20日、音楽家のASKAが「兵庫県立芸術文化センター大ホール」(兵庫県西宮市)でコンサート『ASKA premium ensemble concert-higher ground-』を開催。完売となった会場を埋め尽くしたファンがASKAの歌声に酔いしれた。

「さらなる高みへ」との副題通り、2018年のオーケストラ公演と今年のバンドでのツアーを統合するように、おなじみのASKAバンドに15名で構成された弦楽アンサンブルのビルボードクラシックスストリングスが加わったスペシャルな編成で行われている今回の全国ツアーは、ロック、クラシック、ポップスなどの要素をこれまでにない斬新なスタイルとアレンジで融合したもの。

新旧の楽曲を交えながら2時間以上に及んだコンサートは、2020年3月のニューアルバム発売に向けてさらなる進化を遂げ続けるASKAの圧倒的な歌唱力、メッセージ、未来への意志をパワフルに示すセットとなった。

おなじみのASKAバンドに弦楽アンサンブルのビルボードクラシックスストリングスが加わったスペシャルな編成(写真は12/10京都公演の様子)

チューニングを終えたストリングス隊が華麗なアンサンブルを奏で、そこに重厚なバンドのグルーヴが加わって幕を開けたコンサートは、「待たせたねぇ」というASKAの挨拶代わりなひと言も挟みながら、この大所帯編成ならではのダイナミックにして優美な独自の「シンフォニック・ロック」サウンドを次々と展開。

「今日で(今回のツアーは)3日目だけど、今回は喉のコンディションがイイんだ」と冒頭のMCで語っていたように、優れた音響空間を持つコンサートホールの特性を活かしながらもロック的な熱狂もしっかりと同居させた今回のアンサンブルは、フルオーケストラとの共演ともバンドに数名の弦楽器奏者が加わったものとも明らかに異なるもの。ソウルフルな歌声が映えるメロウな楽曲からヘヴィなタッチのロックまで、起伏に富んだアレンジと曲展開で集まったオーディエンスを魅了した。

ASKA(写真は12/10京都公演の様子)

中盤はメロウ・モードに転じて『はじまりはいつも雨』、ファンの間でも人気が高い隠れ名曲的なナンバーなども交えながらじっくりと聴かせ、11月に約10年ぶりのシングルCDとしてリリースされた『歌になりたい』では、場内のファンが携帯のライトをペンライト代わりに光らせて掲げ、早くもライブに欠かせない定番曲となっていた光景も印象的だった。

幕間の休憩タイムではバンドもASKAもステージ上に残り、リラックスしたMCで語り続けて観客との繋がりはさらに濃密に。後半戦は、コーラスを務めるSHUUBIとのデュオでネット上でも話題となった曲を今回の編成で再演すると、ツアータイトルともなった『higher ground』を含むグルーヴィーかつロッキンなナンバーを連打して会場を一気にヒートアップさせた。

ASKA(写真は12/10京都公演の様子)

アンコールでも、今回のアレンジを手掛けた澤近泰輔のピアノだけをバックに奏で始めた名バラードから、冒頭のリフから盛り上がり必至の人気曲まで。総勢22名のメンバーで奏でられる今回のコンサートは、観る者すべてにアーティストとして新たな高みに向かって歩み続けるASKAの尽きないパワーとクリエイティヴィティを濃密に感じさせるだろう。

今回のツアーはこの後も全国8カ所9公演で年を跨いで続き、1月3日の福岡、6日の大阪、15日の東京、2月9日の横浜公演では、ライブ前に公開リハーサルが行われてその収益の全額が、ASKA自身の強い想いから先の熊本地震の義援金として寄付されることになっている。今回のツアーでは全公演14会場で熊本復興支援ための募金も実施されており、ライブと併せて全国各地で相次ぐ災害に胸を痛めている彼の活動にも注目してほしい。

取材・文/吉本秀純

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