門外不出の童子切を360度、奈良で刀剣展

2019.12.30 09:00

安綱の最高傑作、門外不出の名刀「童子切」を間近で360度鑑賞できる

(写真10枚)

天下五剣のひとつ、門外不出とされてきた国宝の名刀「童子切」を含む、刀匠・安綱とその一門作品約40件が集結した展覧会『最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展』が12月28日、「春日大社国宝殿」(奈良市春日野町)でスタートした。

安綱は、平安時代に伯耆国(現在の鳥取県中・西部地域)に現れた鬼才の刀匠。安綱とその一門作の太刀は、源氏代々に尊ばれた名宝が多く、「古伯耆物(こほうきもの)」と呼ばれる平安時代から鎌倉時代初期にかけて伯耆国で制作された太刀は現存するものが少ない。

本展は、国宝・重要文化財に指定されたほぼすべての安綱・古伯耆が集まる刀剣史上初の展覧会として開催前から注目を集め、さらに「刀剣女子ブーム」を生んだオンラインゲーム『刀剣乱舞−ONLINE−』とのコラボチケットも販売されたことで、SNSを中心に話題を集めていた。

注目の「童子切」(太刀 銘安綱 号 童子切)は安綱の最高傑作と言われ、源頼光が酒呑童子(鬼)を斬ったとの伝承が残る名刀。会場ではこの名刀を360度全方向から鑑賞できる。「門外不出の童子切をこんなに間近で、しかも会期中通期でご覧いただけるので、ぜひともじっくりとご鑑賞いただきたい」と、秋田真吾学芸員。

太刀名 安綱(号 鬼切丸)(別名 髭切) 北野天満宮所蔵(京都府)

また安綱は、日本刀の特徴とされる「反り」をつけた人物ともいわれており、本展では直刀から日本刀へ、その成立過程の謎に迫る展示も。

そのほか、安綱作で大江山の鬼退治で用いられた伝説が残る重要文化財「鬼切丸(別名/髭切)」(北野天満宮所蔵)や安綱と同じく最古級の刀匠・三条宗近作(伝)で源義経が奉納したと伝わる「薄緑丸」(箱根神社蔵)など、希少な刀剣の数々が並ぶ。

会期は前期展が12月28日~1月26日、後期展が2月1日~3月1日まで(1月27日~31日は休館)。料金は、一般1000円、大学高校生600円、中小学生400円。

取材・写真/いずみゆか

『最古の日本刀の世界 安綱・古伯耆展』

期間:前期2019年12月28日(土)〜2020年1月26日(日)・後期2月1日(土)〜3月1日(日) ※1/27〜31は休
時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで) ※年末年始特別開館及び2月特別会館延長あり
会場:春日大社 国宝殿(奈良県奈良市春日野町160)
料金:一般1000円、高大生600円、小中学生400円
電話:0742-22-7788

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