月組・鳳月杏主演作開幕、斬新なスタイルや懐の深さで魅了

2020.2.8 18:25

和洋折衷な装いが抜群のスタイルにフィット。奇抜な物語の中で悠々と役を息づかせた主演の鳳月杏

(写真5枚)

独特の色香を放ち、豊かな歌声と芝居心で魅了する、宝塚歌劇団月組男役スター・鳳月 杏(ほうづき あん)。入団14年目の彼女が、同劇場では初主演を飾る『出島小宇宙戦争』が、「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で2月8日に開幕した。

宇宙人が紛れ込んでいるかもしれないと噂される長崎の出島に、潜入捜査を命じられた江戸幕府の天文方・カゲヤス(鳳月)。宇宙研究の第一人者である彼が、天体望遠鏡を肩にのせ、颯爽と現れる登場シーンから意表をつく。日本のようで日本ではない架空の星を舞台に、カゲヤスが隠し持っている師匠タダタカの地図をめぐり、過去と現在、様々な世界の人々が交錯するパラレルワールドだ。

昨年、花組から古巣の月組へ組替えとなった鳳月が、月への想いを歌い上げるなど彼女に当てた演出が随所に見られる同作(作・演出は谷貴矢)。カゲヤスは明るく爽やかな風情だが悩みを心に秘め、元遊女のタキ/カグヤ(海乃美月)に甘い言葉をスパイス的に発するなど、鳳月の懐の深さを感じさせる芝居が生きていた。

成長著しい男役・暁千星(右)が、カゲヤスと幼い頃に天文学を学んだリンゾウを豪放な味を出して好演
成長著しい男役・暁千星(右)が、カゲヤスと幼い頃に天文学を学んだリンゾウを豪放な味を出して好演

カゲヤスと幼馴染のリンゾウを、振り幅のある演技で魅せた暁 千星(あかつき ちせい)。宇宙人だと噂がある謎の西洋人・シーボルトを、キレと妖しさも漂わせて演じた風間柚乃(かざま ゆの)。ほかにもファンタジー色に満ちた個性的なキャラクターを、出演者全員がビジュアルから斬新に造形した。かつて宇宙人が登場するショー、『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』を成功させた月組ならではだ。

後半になるにつれて二転三転する物語の緊迫感に浸った後は、男役・娘役のスタイリッシュかつエレガントな魅力を凝縮したようなフィナーレが用意されている。特に鳳月のダンス技が映える構成で、海乃をダイナミックにリフトするデュエットダンス、指先まで美しく決まる黒燕尾の男役群舞に目を奪われる。大阪公演は2月16日まで。2月24日からは「東京建物 Brilla HALL」(東京都豊島区)で上演。

取材・文/小野寺亜紀

宝塚歌劇月組公演 デジタル・マジカル・ミュージカル『出島小宇宙戦争』

日程:2020年2月8日(土)~2月16日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:全席指定8000円
電話:06-6377-3888(梅田芸術劇場)

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