若冲の知られざる作品が京都に。最初期の彩色画が初お目見え

2020.3.23 06:00

修理前の伊藤若冲の最初期の彩色画「蕪に双鶏図」(縦111センチ、横68.8センチ)福田美術館所蔵

(写真5枚)

2019年10月に開館した「福田美術館」(京都市右京区)で、3月28日から特別展『若冲誕生~葛藤の向こうがわ~』がおこなわれる。

若冲ブームが続くなか、これまで知られていなかった伊藤若冲の最初期の彩色画「蕪に双鶏図(かぶにそうけいず)」を発見したと発表した同館。

「蕪に双鶏図」は関西在住の個人が所蔵していたものを2019年5月に同館が購入した。若冲が京都錦小路にある家業の青物問屋を続けるか絵に専念するかを葛藤していた30歳ごろの作品とし、これまで「景和(けいわ)」と名乗っていたこのころの最初期の作品として知られていた「雪中雄鶏図」(細見美術館蔵)よりも前に制作されたものとしている。

若冲の圧倒的な描きこみのすごさはファンに知られているところ。同作品は墨による地面の線や蕪の葉に未熟な表現が見られることから、「若冲にも若い時期があって、ここから必死に勉強して代表作に向かっていったということを知ってほしい」と同館の学芸課長・岡田秀之さんは話す。一方、鶏の首の羽には細かく白と黒の描き込みがあり、大きさを変えながら丁寧に色を置いていく独特な描写が見られ、若冲らしさがあらわれているとしている。

展覧会では若冲作品40点が集められ、「蕪に双鶏図」以外は展示替えがおこなわれる予定。ほかに若冲同世代の画家たちの作品も展示し、若冲の魅力とその背景に迫る。入館料は一般1300円。

取材・写真/太田浩子

『特別展「若冲誕生」~葛藤の向こうがわ〜』

期間:2020年3月28日(土)~6月21日(日)※火曜休(5/5・6開館、5/7休館)
時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
会場:福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16)
料金:一般・大学生1300円、高校生700円、小中学生400円 ※幼児無料
電話:075-863-0606

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