江戸時代の見世物的な感覚に期待、サイエンス×アートの展覧会

2020.3.29 09:00

水の流れる西陣織! 鈴木太朗×有限会社フクオカ機業の「水を織る」は、織り込まれた極細のチューブに色水が流れて模様が現れる。異素材繊維を得意とする西陣のメーカーのミラクル織物

(写真10枚)

※この展覧会は開催中止になりました(3月31日発表)

「アート×サイエンス・テクノロジー」をテーマにした文化芸術の祭典『KYOTO STEAM −世界文化交流祭−』が、この春、スタート。「京都市京セラ美術館」(京都市左京区)で4月4、5日に展覧会がおこなわれる。

「STEAM」とは「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」という理数系ジャンルの頭文字に、「Art」を加えた造語。理系と文系で水と油のアートとサイエンス。しかし、それが融合すれば、フレンチドレッシングのようなおいしいイノベーションが生まれるかも。我ながらザツな説明だが、そんなプロジェクトが、芸術系大学とハイテク企業の多い京都から始まったのだ。

市原えつこ×デジタルハリウッド大学院「仮想通貨奉納祭」は、キャッシュレス時代の奇祭を表現する。東京の商店街などで実際に使われた祭の道具を展示。こんなハイテク神輿でまつられたら、神様もハッスルだ

アーティストと企業・研究機関のワークショップによる作品展示は、壮大なコンセプトだけに、難解な作品が出てくるのかと思ったら、水の流れる西陣織あり、テント膜の巨大彫刻あり、なかなか興味深い。

久保ガエタン×株式会社コトブキ・株式会社タウンアート「きのどうぶつ」。公園の遊具のメーカーも驚きの、5メートルのタワー作品

科学とアートのハイブリッドというより、実用先端技術と面白がりの相乗効果が炸裂している。計算されすぎなサイエンスと、洗練されすぎなアートが一緒に冒険した結果、意外にも作品に現れたのは、見世物的な面白さだった。江戸時代、平賀源内が静電気発生装置「エレキテル」を見世物にしてブレイクしたように、科学もアートも、そのルーツは見世物。STEAMの未来は、このザワッとする「見世物小屋」感覚にあるかもしれない。

なお、紹介する作品は、2021年3月に実施予定の国際的なアート・コンペティションのためのスタートアップ展として展示される。

「STEAM THINKING—未来を創るアート京都からの挑戦 国際アートコンペティションスタートアップ展」

期間:2020年4月4日(土)・5日(日)
会場:京都市京セラ美術館本館南回廊2階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
料金:無料
電話:075-752-2212

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