江戸時代の見世物的な感覚に期待、サイエンス×アートの展覧会

2020.3.29 09:00

水の流れる西陣織! 鈴木太朗×有限会社フクオカ機業の「水を織る」は、織り込まれた極細のチューブに色水が流れて模様が現れる。異素材繊維を得意とする西陣のメーカーのミラクル織物

(写真10枚)

機械にはない「人間の心の伸びしろ」を示す展示もあり

テックの進化がここまで来ていると知ると、逆に「人間にしかできないことってなんだろう?」という疑問も頭をよぎる。京都市立芸術大学の川嶋渉(日本画研究室)教授らの作品は、それに応えるものでもあった。

川嶋渉教授が、様々な墨の質をサンプリングするように描く「墨そのものの写生」作品

展示は、墨の濃淡、筆で描いた花、拾ったものを描いた絵。サイエンスとはまったく関わりがない見慣れたアート作品だが、ここには、3人の作家の「写生」に向かうスタンスの違い、世界観の違いが見て取れる。アーティストの内的な世界の多様性、想像力の広がりといってもいい。

幸山ひかりは枯れた花から、森萌衣は拾ったものから美しさを発見する。これは、人間の美意識の拡張だ

科学は人間の能力の限界を設定し、それを拡張させるイノベーションを考えるが、アーティストは、「内向きの拡張」を目指している。人間の心には無限の伸びしろがあり、そこに幸福があるのではないか? そんなメッセージが深い。

取材・写真/沢田眉香子

「STEAM THINKING—未来を創るアート京都からの挑戦 国際アートコンペティションスタートアップ展」

期間:2020年4月4日(土)・5日(日)
会場:京都市京セラ美術館本館南回廊2階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
料金:無料
電話:075-752-2212

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