500種以上、 博物館のような京都のクッキー型店

2020.3.7 08:00

「sacsac」のYouTubeチャンネルにある焼き方の動画を見て、家で焼いてみました! (左上から時計回りに)アステカの神々 シペ・トテック、ウィトルウィウス的人体図、鳥獣戯画 うさぎ、ヴィーナスの誕生、ツタンカーメン 黄金のマスク

(写真13枚)

若冲の犬、音楽家のブラームス、土偶、墓石、ダンテの考える人など・・・個性的なクッキー型を製造・販売するブランド「sacsac(サクサク)」(京都市東山区)。近年、百貨店の催事や行列のできる専門店などクッキー人気は高いが、あえて「クッキー型」に着目したのはなぜなのか。アトリエを取材した。

京阪「清水五条」駅から鴨川沿いを歩き、路地裏に入ったところにある小さなアトリエで制作しているのは、木山潤平さん。美大で彫刻などを学んだあと、レーザープリンターやレーザーカッターを使ってのものづくりにハマり、「何かを作るための道具を作りたい」と、クッキー型のブランドを2014年にスタートさせた。

「クッキーという誰もが好きなものを通すことで、世界の名品の意味を深く知るきっかけになれば」という思いから、博物館をコンセプトに芸術・偉人・民族・郷土・歴史・楽器など「まさかクッキー型になるなんて!」という世界のあらゆるもの約500種類がラインアップ。

クリスマスやお正月など、季節ごとのクッキー型も充実。年間約100種類の新作が出るという

「なんとなく知っているものでも、調べてみるととても深いストーリーがあっておもしろいんです」と話す木山さんは、ひとつのものをとことん深掘りしていくオタク気質もあってか、制作するときには対象物を徹底的に調べて学び、インプットする作業から必ず入るのだそう。

この日も、新作の「良源 角大師(りょうげん つのだいし)」について「比叡山延暦寺の中興の祖で、厄除け大師など独特の信仰が・・・」などひとつひとつ詳しく語ってくれた。出来上がった型には、木山さんによる解説文が綴られており、購入者も自然と学ぶことができる。

駐車場のなかにひっそりとある「sacsac」(京都市東山区)

購入者の用途はさまざまで、「剣道の面の型が意外に人気で。剣道部の友だちにクッキーを焼いてプレゼントするそうです。あと、『定礎』のプレートのクッキーを両面に使ってレーズンサンドにする方とか(笑)。『そういう楽しみ方があるのか』と驚かされることも多いです」と笑顔で話す。

年間約100種類ずつ増えているという「sacsac」のクッキー型(1000円〜)。アトリエの営業は不定休のため、WEBショップでの購入がおすすめだ。

取材・文/野村真帆

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