イッセー尾形の一人芝居「作り始めれば黙っててくれ」

2020.4.2 19:00

僕にとっての文豪は音楽とか絵画とか、小説だけではない世界にもいると実感しています」とイッセー尾形(4月1日・大阪市内)

(写真2枚)

連続テレビ小説『スカーレット』で主人公・喜美子の師匠・フカ先生を演じ、味わい深い演技が絶賛されたイッセー尾形。彼のライフワークとなっている一人芝居シリーズ『イッセー尾形の妄ソー劇場』の会見が4月1日、大阪市内でおこなわれた。

古今東西の文豪たちの作品から「妄想」をふくらませ、滑稽かつ哀愁のあるキャラクターのひとり語りに変換する舞台。サルトルの『嘔吐』を、謝罪会見中に吐き気と戦う男の話に変えた『謝罪会見』をはじめ、ユニークな発想の短編作品5本を上演する。

「最初に文豪が打った球を、僕がどう受け止めるのか? というやり方なので、イチから考えるよりは楽。いざ作り始めたら『文豪は黙っててくれ、後はこっちでやるから』と思います(笑)。今回はフォークソングが原作の作品もあり、僕にとっての文豪は音楽とか絵画とか、小説だけではない世界にもいると実感しています」と、今後も進化する意気込みを語った。

また大阪公演では、日替わりで新作も上演。今のところ、谷崎潤一郎や村上春樹の作品が候補に上がっているという。「村上さんの作品は、書かれてるものは熱くないのにこっち(読者)が熱くなるとか、非常にアンビバレンツ(相反する感情を持つ)。だから正面突破でそのまんまやるのだけは避けて、なるたけ外堀から行きたい」と構想を明かした。

また、毎回会場となる大阪の「近鉄アート館」の観客は、「厳しいけど、ネタを育ててくれる存在」だとも。「新作は必ずここでおろすんですが、客席の『笑えないなあ』みたいな空気を肌で感じたら、すぐ作り直します。それはすごくスリリングだけど嬉しいことだし、今の僕にとって貴重な関係です」と、友情にも似た気持ちを語った。

同公演は、5月27日~31日に「近鉄アート館」(大阪市阿倍野区)で上演。チケットは5000円で、4月11日に発売される。

取材・文・写真/吉永美和子

『イッセー尾形の妄ソー劇場』

日程:2020年5月27日(水)〜31日(日)
会場:近鉄アート間()
料金:前売5000円、当日5500円
電話:06-6622-8802(11:00〜18:00)

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