見取り図リリーの名作あらすじ、「羅生門」編
どうも!見取り図というコンビで漫才をさせていただいているリリーという者でございます。いつもは「リリー先生のアート展の見取り図」という美術館に実際へ行って感想を書くという企画を連載させていただいているのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、まだ美術館へ気軽に足を運ぶ事ができません。ということで、(たぶん)短期連載の「リリーのおうち時間、読書の見取り図」になります。
はっきり言います。これまでの企画なら美術の教員免許を持っており、少しは書ける事があるのですが読書にいたってはだだのおっさんの趣味です。なので、文学的に正しいかどうかは度外視して、「見て見て、おっさんが本読んで独りごと言ってる。ヤバっ、キモっ!!」という見方でお願いします。
今回、読んだ本は、芥川龍之介「羅生門」です。名前は知っているけど、内容を説明してと言われると難しいのではないでしょうか。僕も、めちゃくちゃ前に一度読んだんですが完全に忘れてました。というのもめっっっちゃ短編。こんな短かったかなぁとまず驚きました! デビュー当時の長瀬くんのホットパンツくらいです(これ分かる人は年齢ばれます)。
まず、「羅生門」という、いかついタイトルに、かってに長編と思ってしまいますよね。本によって文字の大きさで違うと思いますが10ページといったところではないでしょうか。難しい言葉も多いので僕なりにあらすじを解釈して書かせていただきます。
芥川龍之介「羅生門」リリー版あらすじ
平安時代の京都にあるボロボロの羅生門という門の下に、雨の日1人のさえない男。この頃の京都は地震とか火事とか飢饉で超やばい状態です。ヤンキーたちが、仏像や鳥居でさえ砕いて薪(まき)として売るくらい不景気状態。そのなかでも羅生門は、訳ありの死体が出ると、この羅生門に捨てにくると言われている激ヤバ・スポットなのです。
それなのになぜ男がここにいるかというと、この不景気のあおりを受けてリストラされ、行く所がなく雨宿りをしてたんです。男は色んなことを考えます「もう死ぬか、泥棒になるしかねぇかぁ。けど寒いから風と雨がしのげる所、探してとりあえず今日は寝るかぁ」。門の中を見るとハシゴがあり、天井裏のようなスペースにつながっています。
その中なら寝れるかなと思いハシゴを上がり顔を出し覗きます。すると、噂通り、a lot of 死体! 男の死体、女の死体、服を着てない死体、色々。くさっっっ! ここじゃ寝れんかなぁ、なんて思ってたら、「うん? なんか今動いた?」とよく見てみたら、生きてる小さいババァがいることに気づきます。
さらに目を細めてそのミニ婆を見ると女の死体の髪の毛を1本ずつ抜いています。何をしているのかはよくわかりませんが男の正義感がうずきます。よく状況はわからんけど絶対このミニ婆は悪い事をしているという事で、梯子から猛ダッシュ。さっきまで泥棒になろうとしていたやつか、ほんまに?という態度で「こしゃくなぁーーー!ミニ婆ーーー!!悪い事すんなーーー!」。するとミニ婆は驚いて逃げ出します。しかしリストラ男といえども流石に、ミニ婆くらいはわけもなく捕まえます
「何しとったか言え。俺は警察じゃないから捕まえたりせん。ただ悪いことは見過ごすわけにはいかん!!」。いや、だからさっきまで泥棒になろうとしてたよね君、と言いたくなるような台詞を吐きます。ビビり散らしているミニ婆を見ると、正義感は薄れて次は、俺やったったでぇ、みたいな満足感のような物が出てきます。すると、ミニ婆は「毛抜いてカツラ作ろうと思ったんですわぁ」と答えます。
それを聞いて男はやっぱり、このミニ婆はひどいから怒ってやろうとすると、ミニ婆が続けて「確かに、確かに死体から髪の毛を抜くのは良くないですよ。ただ聞いてください。この死体の女は、飲食店をしてたんじゃが、食材を偽装したり悪い事をして稼いでたんじゃ。ただわたしゃそれを悪いと思わないよ!そうしないと食っていけんからねって事は今わたしがしている事も悪くないよね。だってそうしないとわたしが食っていけないもーん!」とベラベラ。
それを聞いた男は急にミニ婆の着物を剥ぎ取り、抵抗しようとしたミニ婆を蹴り倒しました。そして「じゃあこうされても俺は悪くないな、この着物を売らんと俺が食っていけないからな!」。そしてハシゴを男は降りて行った。ぐったり倒れた後、体の自由がきくようになったミニ婆が門の下を覗き込むとそこには誰もいなかった。その男がどうなったか誰も知らない。
という感じの話です。本当に荒いので興味を持った方は書籍の方でちゃんと読んでみてくださいね。素人おじさんの感想はというと、こんな短い話の中に、人間の醜さ、人間とは何か? 作者の思う人間感、それらが詰まっているなんて、凄すぎるだろうと思いました。時と場合によってコロコロと変わる心理状態、人間というのはそんな美しいものじゃないよと言われてる気がします。今のコロナ禍で、よく聞く「自粛警察」を思い出してしまいました。
はたして、正しいことをしているのか、していないのか・・・本人が正義と思っていたとしても、はたから見ると全く違うこともある。哲学書を読んだ時に近い感情です。嘘です、哲学書なんか1ページも、いや1文字も見た事ありませんでした。いやそれにしても、短いのに読後の充実感がすごい。さすが龍ちゃん! 僕は芥川龍之介を龍ちゃんと呼ぶ、ただ1人の現代人でしょう。
見取り図の近況
YouTubeで「見取り図ディスカバリーチャンネル」で、随時コンテンツをアップしています。最近はリモート撮影で撮って試行錯誤しているのでぜひ見てみてください。念のため言いますが子ども向けではありません。あと、毎日21時から「よしもと漫才劇場」メンバーが配信してます。見てみてください!
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