『のぼる小寺さん』、古厩監督「女の子は道を見つけ、男の子は恋愛に」
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ボルダリングで、ひたすら上を目指す小寺さん。今回のために工藤遥は練習を重ねて、自分で登れるように。©2020「のぼる小寺さん」製作委員会 ©珈琲/講談社
「鈴木仁さんは、しゃべらなくても何を考えてるか分かる」
──そのほかの小寺さん渦に巻き込まれる若手俳優さんもそれぞれ個性的でいいですよね。
小寺さんをカメラで撮り続けるありか役の小野花梨さんは子役からで、ものすごい作品数出てるんですよ。俺よりベテランじゃんって(笑)。ここ2年くらいは子役を脱して俳優として認められてきていて、彼女は嗅覚が良いからなのか、良い邦画に出てるんですよね。『宮本から君へ』の蒼井優さんの妹とか。出てると本物っぽいんですよ。「うわぁ~、いるわこういう女の子」っていう。その実在感がすごい。
梨乃役の吉川愛さんは、休んでいる期間があったんですが同じく子役からです。美人だし、ものすごく華があって、フッといるとみんながバッと見るんですよ。普段はフニャフニャとしている感じなんですが。この間久々に会って、試写の時に「カントク、コンニチィワァ~」って言われて、「誰だ?」と2秒くらい分からなかったです(笑)。
──映画の中では凜としてますもんね。
そうなんです。でも実際は全然そういうのじゃないんですよ。で、四条役の鈴木仁くんは、僕はすごく面白かった。あんまりしゃべらない役だったけど、クッと見る目で何を考えてるかすごく分かる。犬がうれしいときはしっぽ振っているみたいな、言葉を発しなくても何を考えてるかのか分かるエモーショナルな俳優さんで、僕は大好きですね。
──いきなり近藤に抱きつくところなんかはちょっと驚きました。いろんな意味で(笑)。
そうそう、僕はああいう風に抱きつくとは思ってなかったんですよ。もうちょっとスッとやるかと思っていたら、「お前はイエスか!」って。あれは良かったですね。
──あはは、何事かと思いましたね。先輩役もなかなか面白くて、田中偉登さんは最近ドラマや映画によく出ていて顔なじみもあるんですけど、ありかに惚れられる両角周さんが実に個性的な顔で存在感があってめっけもんだな、と。
彼はもともと僕がやってるワークショップに来ていたんです。ヒドいやつでね、「最近何か面白いことある?」って訊いたら、「携帯を逆パカしました。」って。意味を聞いたら「腹が立って携帯を逆に折ったんですよ」みたいなことを言っちゃう(笑)。面白いから「劇団東京乾電池」に行った方がいいよ、って入れたんです。
──え、本当に!?
ええ、柄本明さんのところに入れたんですよ。
──あはは! まぁ柄本さんタイプの顔と言えばそうですけど。確かに「劇団東京乾電池」にいても確かにおかしくない(笑)。
乾電池か、大人計画でしょ? 何とも言えない佇まいですよね。面白いです。
──そんなキャラクターたちがそれぞれ際立ってるのは、吉田玲子さんの脚本にも依ると思うんです。監督との親和性がとんでもなく高いと感じました。もちろんコンビを組まれるのは初めてですよね。
初めてです。
──僕はアニメーションも観るのですが、吉田さんの実写映画というのはそんなに多くないですよね。
吉田さんは、作品にピッタリでしたね。僕も『聲の形』とか『けいおん』は見てましたが、どうでもいいような普段の言葉をしゃべるところが、なんか活き活きとしてますよね。そこでフッと持って行かれる。
例えば四条がわ~っと掴みかかったりするところとか、ありかが「私、先輩好きだと思う」とつぶやくところとかは原作にはないんですよ。でも、それをヒュッって考えてくるところはさすがだねぇと思います。

──やっぱり京都アニメーションのような自然主義的な作風が似合うというか、言葉ひとつでその人物が動き出すというか、キャラクターひとりひとりに生命力を宿らせるところに親和性を感じるのかな。
そうですね。女子のわちゃわちゃがいいんです。これが幸せ、永遠に終わらなければ、な感じですね。
──そして今回は、音楽もとても印象的だったんですよ。上田禎さんとは何作か組んでいらっしゃいますが、今回はピアノ一本がほとんどで、それでいて大会のシーンもきっちり盛り上げる。それは、どういうところから?
上田さんが音数少なくてもいいかな、って言ってたんですよね。『武士道シックスティーン』もピアノだけでやってもらったんですよね。
──あ、そうでしたよね。古厩さんの映画にはそうした端正さが似合う気がします。
予算が少ないというのもあるんですけど、上田さんってかなりアーティストで、何をやってもちょっとヨーロッパみたいになるんですよ。そこが僕にすごく合ってるんですよ。上田さんの世界観というのはピアノだけでも全然大丈夫だし、その方がより先鋭的に出るんですね。
──あ、その、予算がないんで、っていう話・・・。
言ってません、言ってません(笑)。
──その予算に通じる話なのですが全編、栃木県足利でのロケですかね?
足利以外は群馬の岩場ですね。でも全体にロケーションです。セットも使ってない。
──あのボルダリングも元々あったんですか? いや、正直あまり予算かかってないなと思ったんですよね(笑)。それは映画の出来とは全く関係のないことなので。それでこれだけの素晴らしい作品ができるんだと。
ボルダリングの壁はその学校に作りました。あれ作るの結構かかるんですよ。まぁ、あそこだけっていう話もあるんですけど(笑)。
『のぼる小寺さん』
2020年7月3日(金)公開
監督:古厩智之
脚本:吉田玲子
原作:珈琲『のぼる小寺さん』(講談社アフタヌーンKC刊)
出演:工藤遥、伊藤健太郎、鈴木仁、吉川愛、小野花梨、ほか
配給:ビターズ・エンド
関西の上映映画館:梅田ブルク7/なんばパークスシネマ/T・ジョイ京都/シネ・リーブル神戸、ほか
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