「神さん見てはりまっせ」大阪・少彦名神社が転売に警鐘

2020.7.2 20:15

現在、授与を停止している「雨ふり御朱印」(雨の日限定)

(写真3枚)

御朱印集めの人気とともに、問題視されている「転売」。大阪で「神農(しんのう)さん」として親しまれている病気平癒の社「少彦名(すくなひこな)神社」(大阪市中央区)では、雨の日限定御朱印の転売をきっかけに、授与を停止することに。

6月28日に、同社が「以前から見つけた場合はお止めすると申し上げておりましたが、雨の日御朱印がフリマアプリに出品されましたのでしばらく授与をお止めします。誠に残念です」と公式ツイッターで投稿。

ツイート後は携帯のバッテリーがみるみる減っていくほど反響があり、リツイートは2万超え。「転売を規制してほしい」「罰当たりにも程がある」などの声があふれたという。

同社の「雨ふり御朱印」は、足元が悪いなか来てくれた参拝者に「雨だからよかった」と思ってもらえるよう3年前から授与。「小雨では授与しないので、わざわざ雨雲レーダーを確認し大降りになってから来てくれた方もいました」と、宮司の別所賢一さん。宮司夫妻による手彫りで、4月からは「バンクシーの絵に似てる」とも言われた、干支のねずみが和傘をさす愛らしい印が登場していた。

フリマアプリでの転売を知り、授与を停止するのは苦渋の決断だったという。「梅雨の時期ですし、残念がる声を聞いて申し訳ないなと。でも、やはり御朱印は神の世界への誘いとなるもの。参拝でこの場の空気を直に感じてもらいたいですし、1人のおこないが大きな影響を与えるという警鐘の意味もこめて」と別所さん。

「薬の町」道修町に鎮座する「少彦名神社」。現在は「七夕祭」と「夏詣」で多くの参拝者が訪れている

「転売を防ぐなら御朱印をやめれば」という意見もあったそうだが、別所さんが大事にしたいと思ったのは、御朱印がきっかけの参拝者同士の繋がりや、「御朱印で心身ともに救われた」という声だったという。

「今回のことで暗い雰囲気になるのは嫌だし・・・結局はいつも『良いことも悪いことも神さん仏さん見てはりまっせ』の一言に尽きますかね。どの方にも楽しくお参りしてもらえる、それが1番です」と、微笑む別所さん。

授与の再開は近い将来とのことで、七夕祭御朱印などほかの御朱印は現在も授与されている。御朱印授与は10時~16時、御札・御守授与は9時~17時。

取材・写真/塩屋薫

「少彦名神社」

住所:大阪市中央区道修町2-1-8
時間:御札・御守授与9:00~17:00、御朱印授与10:00~16:00、閉門18:00・土日祝17:00
電話:06-6231-6958

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