2020年上半期に見逃していない? 観るべき洋画の評論家鼎談
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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
「『映画を作る人間はみんなこうだよ』って、感じられる」(春岡)
春岡「俺はあと『フォードvsフェラーリ』だな。ありきたりだけどあの親子がサーキットへ行ってさ、ずっと引きで撮られているんだけど、『このサーキットがすごいんだ』と言われた日には、「そうだよね、男の夢だよね」って思っちゃったよ!」
斉藤「ジェームズ・マンゴールド監督はアウトサイダーを描かせたら随一。爆音もすばらしくってさ、あのエクゾーストノイズが! 劇中のホットロッドミュージックも良くって。っていうか、タイトルは実は嘘で『フォードvsフォード』な話なんだけどね。首脳陣vsアウトサイダーというか」
春岡「レースシーンも心震えたよ。『栄光のル・マン』(1971年)もそうだけど、ああいうレースシーンが嫌いな男の子はいないんじゃないの?」
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斉藤「いやぁ、燃えた! それとテレンス・マリック監督の『名もなき生涯』。マリックの作品は最近、ナショナルジオグラフィックみたいな映画になっていて、判るんだけどちょっと違うなと思っていた。でも今回は、ナチに徹底的に反抗した男の話。スタイルは最近のマリックなんだけど、基本的にはずっと移動していて、法廷シーンなんかはちゃんとフィックスで撮り、カメラとモノローグだけで2時間半を見せ切る」
田辺「あと、今年で触れておきたいのは『レ・ミゼラブル』。土地が抱える問題のことを分かっていたら、ドラマ的には決して新しくない。ただ、少年が飛ばすドローンが出来事を目撃していく撮影の巧みさに驚いた。マンションの屋上を駆け回って逃げる場面のカメラワークとか」
斉藤「そうそう、撮影のセンスが本当に良い。アメリカンニューシネマ的なバディムービーとしても普通に面白い映画だし、サーカス団が出てきて話が弾んでいくところとか機知に富んでいる。そうなんだけどさ、でも結末を濁しちゃったのが残念なんだよ。あれを投げ出したらダメ。そこで星を1つ、2つは落としちゃった」
春岡「ドキュメンタリータッチなところもあって、今のフランスのあの地域の問題はこうなっているんだというのが分かるし、キツさも伝わって、編集も良かっただけに、『最後はちゃんとやれよ!』と。勝っても負けてもいいからちゃんと決着させて、あとは観た人が判断すれば良い。そこを濁したのがダメよ。すげぇおもしろかったのにさ」
斉藤「『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』も、テリー・ギリアム作品として久しぶりに鬼気迫ってた。虚実皮膜で無茶苦茶なのが楽しい。今までこれを映画化するにあたって生じた理不尽な災厄とか、『バロン』(1988年)や『未来世紀ブラジル』(1985年)製作時の恨み辛みとか、結局全部入れちゃったみたいな(笑)。ま、当然それだけじゃないけど、ギリアムの行き着いた果てみたいなぶっ壊れようで」
春岡「物語自体、ロマンティシズムの要素があるじゃん。見果てぬ夢みたいな。ギリアムを見ていると、「映画を作る人間はみんなこうだよ」ということを、感じられる人は感じられる(笑)。俺はほかに『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』が意外に楽しめたな」
田辺「結構作品があがりましたが、ほかに外せない映画はありますか?」
斉藤「『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』は珍しく純粋推理劇を完璧に成立させていたよね。それと『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』。ダウン症の男の子がレスラーになるまでのロードムービー。涙なくして観られない。カメラワークも抜群。今までで最高のシャイア・ラブーフが観られる。ほかに『新喜劇王』、『人間の時間』、『在りし日の歌』あたり」
春岡「俺は『黒い司法 0%からの奇跡』、『ハリエット』とかね」
田辺「上半期のベストワンですが『ジョジョ・ラビット』もすごかったけど、驚きの度合いでいくと『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』ですかね。『ミッドサマー』は思い切って外して、『フォードvsフェラーリ』が入った方が刺激的な感じがします。結局、コロナでいろいろあったけど3人とも何だかんだでいろいろ観てますね(笑)」
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