閉店した京都の名物居酒屋、後継者が決定「残さなければ」

2020.7.30 17:15

「地球屋」の看板には、9月再オープンを知らせる張り紙が

(写真2枚)

今年4月、惜しまれつつ45年の歴史に幕を下ろした京都・河原町の名物居酒屋「地球屋」(京都市中京区)。後継者が決定したとの朗報が届き、さっそく話を訊いた。

壁一面のポスターやマジックで堂々と書かれた落書き、割り箸で栓を抜く瓶ビール・・・など独特な空間で知られ、学生をはじめ、バンドマン、劇団員など多くのサブカルチャー好きから愛されてきた同店。閉店の知らせにネット上では、「文化の溜まり場が消えちまった」「誰か後継いで!」などと惜しむ声が多く集まっていた。

その後、30名以上もの後継者候補のなかから、同店で約40年に渡って店に立ち続けてきた3代目店主の浅野さん(72)の跡を継ぐ第4代目として決定したのは、京都を中心にタイ料理店などを展開する「菊岡夫婦社」の菊岡信義さん。自身も学生時代に同店で2年間アルバイトを務めていたOBだ。

「学生時代アルバイトしていたこともありますし、妻と結婚できたのも地球屋がきっかけのひとつで、僕にとってもとても大切な場所。そして何より『京都の財産』であるこの場所を残さなければならないと思った」と、同店への強い思い入れを語る。

閉店前の「地球屋」店内。アングラな雰囲気がサブカルチャー好きに支持され、芸大・美大系の学生も多かった(写真提供:木村美都さん)

これから店の清掃や整備をおこない、9月中旬に復活オープン。独特のカオスな雰囲気はそのままに、メニューなどもほとんど引き継がれるという。また、創業者の「学生さんたちに本物の美味しいお酒を飲んで欲しい」という思いを汲み、日本酒の利き酒セットなどが用意される予定だ。

「この再スタートと同時に次の世代へ繋げていけるようにしたい」と、自身の先へもバトンを繋いでいく決意を菊岡さんは語ってくれた。京都の文化の溜まり場の新たな歴史の幕開けにエールを送りたい。

取材・写真/野村真帆

「地球屋」

住所:京都市下京区四条河原町下ル三筋目東入ル

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