海外活躍アーティストの関西初個展、京都で3会場同時

2020.8.12 07:45

6階特設スペース。ショップの中に突如としてAMANO部屋が突如、現れる

(写真15枚)

パリを中心に活躍するアーティスト、TAKERU AMANO(天野タケル)の個展『ICONS』が京都で開催。商業施設「藤井大丸」(京都市下京区)をはじめ、3会場で8月8日から同時におこなわれている。

国内外で高い評価を得ているアーティストAMANO氏は、NYで版画を学び、現在はパリを拠点に制作・発表。絵画、彫刻、グラフィックデザイン、映像作品さまざまなフィールドで活躍している。今回は関西初とあって開催前から問い合わせが殺到し、初日前に多数の作品が売約済という人気ぶりだ。

明快な色彩に、簡略化された線が特徴で、一見すると「かわいい」作品を生み出す同氏。IKEAで買ったというウサギや犬のぬいぐるみをモチーフにしつつも、実は動物の死骸を描いたヴァニタス画(16〜17世紀のヨーロッパ北部の寓意的な静物画)をオマージュしていたり、伝統的なクリエイションを守りながらも現代風に昇華しているのだ。また人物画であれば目の形も独特で、氏のアイコン的存在となっている。

レモンを題材にした静物画も多く、「レモンは色がキレイで形もおもしろく、描くのが楽しい。それに、世界共通で人生の甘酸っぱさを表現できるメタファー(隠喩)になるから。日本のみかんはコタツを連想したり・・・、オレンジでは国によって受け止め方や形が違うの世界共通にならないでしょ」と、AMANO氏。そのほか、人生の儚さを表現したロウソクを描くなど、モチーフに意味を持たせ作品を制作している。

人物画は、目の形が共通し、アイコン的役割を担う。それでいて、作品ごとに目の大きさや配置の違いもあり、描かれて人物のキャラクターや表情がまったく違って見えてくる

「藤井大丸」6階特設スペースでは、会場を部屋に仕立て、家具や静物などをモチーフにした作品を中心に展開。今回の展覧会を主催するギャラリー「CANDYBAR Gallery」では初の作品集「ICONS」の表紙に使用されている「Venus and socks」をはじめ、人物作品を中心に。またギャラリー「Ygion4F」では広い空間を生かした大作が展示されている。

また「京都岡崎 蔦屋書店」でも作品集の刊行記念の特設フェアを実施し、デジタル版画や関西ではここだけでしか買えないキーホルダーも販売。会場ごとに展示している空間や作品もまったく違うので、巡って鑑賞するのがお勧めだ。「藤井大丸」は8月23日まで、ほか2カ所の展示は8月30日まで。

取材・文・写真/天野準子

『TAKERU AMANO 個展 ICONS』

期間:2020年8月8日(土)~8月30日(日)※藤井大丸は8月23日(日)まで
会場:藤井大丸(京都市下京区寺町通四条下ル貞安町605)
Ygion(京都市東山区弁財天町19 Ygion4F)
CANDYBAR Gallery(京都市東山区弁財天町19 Ygion2F)
料金:入場無料
電話:075-531-0617(CANDYBAR Gallery)

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