終始フィナーレ…映画館で体感する、全員が特等席の花火大会

2020.8.26 19:15

上映会の様子。作品は『花火サラウンド フルハイビジョンで愉しむ日本屈指の花火大会』(制作:シンフォレスト)©2011 Synforest Inc. All Rights Reserved.

(写真12枚)

雨上がり、浴衣姿の人々が次々と入場していたのは、兵庫・尼崎の映画館「塚口サンサン劇場」。22日の夕方、スクリーンで花火大会の映像を鑑賞する『花火サラウンド 塚口流で愉しむ日本屈指の花火大会』が初開催された。

観客体験型の上映会を数々、開催してきた同劇場。今回は、浴衣&甚平姿でスタッフが接客し、地下の待合室に登場した祭りやぐらの前で、ラムネや団扇を手に記念写真を撮る観客ら・・・と、館内は上映前から華やいだ夏祭りの雰囲気に。

コロナ禍で花火大会の中止が相次ぐなか、映画営業部の戸村文彦さんは、「映画館で今夏の思い出作りができれば」と浴衣で参加でき、雨天中止にならない2日間限定の花火大会を企画。人混みを避けたい家族連れや高齢者からの問い合わせも多く、チケットは販売開始とともに即完売になったという(感染予防対策で1席ずつ空けての販売)。

浴衣姿のスタッフさんたち。背後の手作り飾りなど、受付も夏祭りらしいテイストに

そして、リアルに花火を感じさせてくれるのは、映画館ならではの特別音響。同上映会のシアターは、野外フェスなどでも使用されるウーハー(低音専用スピーカー)が前方に2つ常設され、さらに客席を取り囲むように12個のサラウンドスピーカーも。

臨場感あふれる重低音から、普段耳で拾いにくい細やかな音まで、作品に合わせて専門スタッフが調整をおこない、戸村さんは「1番大切なのは、作品の良さを引き出し、いかにおもしろく観てもらえるか。音響はあくまでもプラスアルファですが」と、作品内容とのバランスにも配慮する。

上映会は花火大会らしさを再現し、突然ダイナミックな打ち上げからスタート。全国的に有名な8つの花火大会の見どころを集めた作品だけに、きらびやかなスターマイン(連射連発花火)を複数カ所から打ち上げたものなど、終始フィナーレを観ているよう。

きのこ型花火に笑いが起こったり、関西地区の「びわ湖大花火大会」(滋賀県大津市)の登場にはひと際大きな拍手も。花火の表現で使われがちな「バーン」「ドーン」を超えた多彩な音とともに、「ビーン」とした地響きのような振動も体感できた80分間となった。

拍手のなか、甚平姿で挨拶する、映画営業部の戸村文彦さん(右端)。客席は感染予防対策で、1席ずつ空けての上映会となった

上映後、戸村さんは「今夜はちょうど全国で(コロナ禍への応援企画)エール花火が打ち上げられるようですが、塚口からもエールを込めて」と挨拶し、客席から大きな拍手が送られた。大阪から来た20代女性は「すべての花火を涼しい特等席で観れた感じ。観た人は推し(好きな)花火を見つけられそう」と余韻に浸っていた。

そんななか26日、「花火の見れない夏はやはり寂しいと言う方々の声にお応えして、1週間連日開催を致します!」と開催を急遽発表。9月11日から17日まで、800円均一で実施されるという。時間などは後日公式サイトにて。

取材・文・写真/塩屋薫

「塚口サンサン劇場」

住所:尼崎市南塚口町2-1-1-103号
電話:06-6429-3581

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