長財布はいらない? 百貨店の売場に大きな異変が・・・

2020.9.4 07:15

スマートフォンケースや、スマホやミニウォレットだけを入れることを想定したミニバッグなどが充実する「スマートアイテム売場」

(写真7枚)

財布売場といえば、長財布、二つ折り財布、小銭入れが並ぶのが当たり前だったが、「阪急うめだ本店」(大阪市北区)に並んでいるのは明らかに財布じゃない・・・。キャッシュレスという時代の波を先導するためか? 売場に何が起こっているのか?

財布売場だった場所に、9月2日に名付けられたのは「スマートアイテム売場」。ズラリと並ぶのは、スマートフォンケース(以下スマホケース)や小さなバッグ。革製品のものだったり、デザイン性が高いものだったりで、百貨店らしい上質なものばかりで値段も1万円前後。雑貨店や家電量販店で販売している商品とは一線を画している。

今回の大幅なリニューアルは、2年前から起こりはじめた「傾向」が理由と、ハンドバッグ商品部のマーチャンダイザーの山田さんは説明する。「長財布が、2年前から前年比80%、60%と売り上げが減少傾向に。その代わりにコンパクトなミニウォレットは160%と伸びている。そしてスマホケースはそれ以上。このまま同じ売場展開ではもう難しいと感じました」。

そのため商品構成を大幅に変更、長財布7割、ミニウォレット2割、スマホケースその他が1割だったのを、今回のリニューアルで、スマホケース4割、ミニウォレット3割、長財布1割とその他アイテムに。「仕事でスマホ2台持ちも当たり前となり、ビジネスの場でも重要に。また携帯で会計する人はスマホだけを持ち歩き、ファッションとしての重要性が高まった」と分析する。

実際に、上質なスマホケース目当てに、これまでの百貨店の財布売場は40代以上が中心だったが、30代を中心に若い世代が増加。また、財布と異なり、ユニセックスなデザインが多いことから、男性の購入者も増えたのだという。

新たに導入したブランドは、ドイツのタンナー・ベリンガー社のカーフレザーを使用した「ロルナ パッソーニ」、高級本革を使用した「デミウルーボ」、ポケットなどが付き機能的な「エジュー」など。サイズはiPhoneであればほぼ対応し、アンドロイドに関しては一部。今後は充実させていく予定だそう。

「ロルナ パッソーニ」のスマホケース19800円

また、コーディネートとして、ストラップや、スマホを入れるためのミニバッグなどを提案。ほかワイヤレスイヤホン、充電パッド、USBコードなど、スマホ周辺のアイテムも充実。フランス生まれのブランド「メゾンキツネ」とコラボしたアイテムなども。

山田さんは、「これまでにない提案をおこなうことになるので、オンラインで販売するよりも、むしろ対面が重要な売場になったと考えている」と話す。

ちなみに、決して長財布の需要がなくなったわけではなく、ラグジュアリーブランドでは引き続き好調。「もともと自分が好きなブランドを選んでいる方が多い。それぞれのブティックで購入してもらう方が色のバリエーションなども豊富で、百貨店・店・お客それぞれにメリットがある」とのことだ。

「阪急うめだ本店」

住所:大阪市北区角田町8-7
電話:06-6361-1381

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