見取り図リリーの名作あらすじ、「伊豆の踊子」

今回、セレクトしたのは川端康成「伊豆の踊子」。本によって組み合わせている短編が違うので、目次をしっかり見るのもお忘れなく
どうも! 見取り図というコンビで漫才をさせていただいているリリーという者でございます! いつもは連載「リリー先生のアート展の見取り図」で、美術館を鑑賞して感想を書くという企画を連載させていただいています。新型コロナの影響により今回は特別に「リリーのおうち時間、読書の見取り図」第2弾です(本当は8月中予定が、気づけば・・・9月でした。夏休み宿題あるあるです)。
前回は芥川龍之介の名作「羅生門」を選んだのですが、今回はそれに負けず劣らずの作品、川端康成『伊豆の踊子』です。川端康成さんはご存知、日本で3人のうちの1人、ノーベル文学賞を受賞しております。すごいですよね。
そして前回も言いましたが、読書にいたってはただのおっさんの趣味。文学的に正しいかどうかは度外視して、「まぁたおっさんが本読んでなんか言ってる。ゲボゲボ〜!!」という見方でお願いします。この作品初めて読んだのですが、なんていうか、分かるはずないのに「わかる〜」と思ってしまう作品でした。僕なりの説明であらすじを。
川端康成『伊豆の踊子』リリー版あらすじ
すごい雨が降ってきた伊豆、1人で旅している20歳の学生がいます。その理由というのが孤児で育った自分の性格は歪んでいるのではないかと自分を責めて、今で言う「自分探し」に近いような気がします。
その旅行の途中、旅芸人(男1人、女4人)に出会い行動を共にするんですが、そのなかの1人、踊子に心惹かれていきます。旅の途中、座布団を敷いてくれたり、下駄をそろえてくれたりと、僕が主人公なら「顔もかわいいのに、気も利くんかい。もう結構好きなんですけど!もうええわ!」と和牛・賢志郎さん並の「もうええわ」を決めてしまうでしょう。
踊子もまんざらではなく、主人公に好意を持っている感じです。このはっきりとしない恋愛前の感じ良いですよね、こういうところなんか「わかる〜」となってしまいます。あらすじなのにちょいちょいリリーが出てきてすいません! 途中で、旅芸人の男に、流産と早産で2人の子どもを亡くしたという話を聞くなど、関係が少しずつ深まっていきます。
旅芸人が泊まる安い宿に着くと、主人公も同じ宿に泊まることにします。すごい雨の中、宿の向かいの料理屋から太鼓の音が、見ると踊子が太鼓を叩いています。しかもすごい盛り上がり。主人公は、「あぁ今日、踊子は客の男に抱かれるかも知れない」と、嫉妬から頭がおかしくなりそうでした。これも、狙っているチャンネーが先輩芸人に誘われたら・・・わかる〜。
次の日、朝お風呂に行くと、少し離れた共同風呂から踊子が手を振っているところを発見。しかも裸で、その裸を主人公は見て「あぁ、なんだ〜。まだまだ、子どもなのか。じゃあ流石に昨日なんもされてないか〜」と喜びが止まりません。ちょっと大人っぽい化粧の顔と髪型などで17、8歳かと思いきや、聞くと14歳でした(ほんまに、子どもですやん)。
そんななかで、旅の途中旅芸人の女たちの声が聞こえてきました。「いや〜あの人いい人ね」「うん、いいじゃんあの人!」。自分に自信のなかった主人公はうれしく思います。本人は自信を失って旅していたので、ここ結構重要な気がします。
そろそろ旅も終盤となり、死んだ子の49日があると聞き、主人公は、花でも買ってくださいとお金を渡します。金も尽き、翌日には帰ると伝えると、「49日がありますので、もう1日だけ伸ばしてくれないか」と頼まれますが「学校」を理由に断ります。本当ならもっと一緒にいたいかもですが、資金不足というのは男としては隠したいですよね。わかる〜。
最後の日は、サラリと映画に行かないかと踊子を誘います。踊子は母親にお願いしますがダメだと言われ、逆にスネてしまってちょっと主人公を無視しちゃうんです。そこで、主人公は1人で映画に行き、わけもわからず涙が流れます。
迎えた次の日の朝、旅芸人の男1人が見送りに来てくれます。どうやら前日が遅くまで仕事らしくほかのみんなはまだ寝ているらしいと、「見送りはないのか」とちょっぴりガッカリ。
そんななかで、乗船場に着くとうつむいた踊子がいます。話しかけても、うなずいたりするだけで、何もしゃべりません。昨日の化粧が残ったままなのが、言葉にならない感情があふれてきます。船に乗る時、さようなら、と言おうとしたんですが、結局うなずくだけ。船が遠くなると踊子は白い物を振っているのが辛うじて見えます。
あと船に乗る際に3人の子どもを抱える老婆の面倒を頼まれ、普通であれば「えっ」ってなる内容なのですが、サラッと受け入れます。船内に入ってからは、カバンを枕にしてカバンに涙がこぼれすぎて、冷たくなってカバンを裏返し。それでも、涙が出っ放しになり、頭が澄んだ水のようにこぼれていき、何も残らない心地良さで帰路につくのです。
どうでしょうか。あらすじを書いてるだけで泣きそうになりました。派手な出来事もトラブルもなく、たわいもない旅行記に読めるかもしれないのですが、表現がとにかく美しいので読んでみてください。だれしもが抱える、若き日の「小さな美しい思い出」。思い出のなかだけに生きているあの人を、記憶のなかから掘り起こして共感できるのではないでしょうか。
そして、亡くなった子どもの話が出てきたり、孤児を抱えるおばあさんをすんなり受け入れたり、自身も孤児となってしまった川端康成の「家族」への思いも感じられる気がします。また、物語は雨から始まり、踊子が抱かれるのではないかという絶望の時も土砂降り、お風呂の踊り子、そして最後海へ。で、船の上では出る時も涙で水浸しで、澄んだ気持ちに。これは水を通して主人公が浄化されていく様子を描いたのではないでしょうか・・・知らんけど。

ほかにも、時代性や、職業に対する差別など短編ながらもいろんな要素が盛り込まれています、まぁ、感じ方は自由ですので、皆さまもノーベル文学賞に触れてみてはいかがでしょうか! 写真はですね、暑い日が続きますが、冬を忘れないために一瞬だけエアコンに頑張ってもらいダウンを来てみました。僕の夏の思い出です。
見取り図の近況
YouTube「見取り図ディスカバリーチャンネル」で随時配信。出演している「よしもと漫才劇場」では客席は50%以下の使用で、感染予防対策もしっかりするほかライブ配信も。9月15日は車でお笑いを楽しむ『よしもとドライブインシアター ~笑いのパーキング~』にも出演します。
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